
こんにちは、髪ふさアドバイザーの吉宮です。
よく、「一夜にして白髪になった」などという表現を耳にしますが、実際、そういうことは起こりうるのでしょうか。
そうでなくても、いわゆる「若白髪」の人って、意外と増えているようなので、黒髪が白髪へと変わる仕組みについて、見てまいりたいと思います。
白髪って、抜けば黒髪が生えてくるってホントなの?
最近、20代後半で割と「実は、わたし白髪多いんですよ」という方が増えています。
皆、カラーリングをしているのでわからないけれど、女子ばかりが集まって美容関連の話題になった時、普段うまく隠していることの実態が、わりとポロポロと明かされます。
白髪見つけた時にどうしているのか、という問いかけに、

即、抜くっ。

額の生え際だと目立つし、抜くかしら。

私も生え際は抜きますよ。
上の方はマスカラタイプの白髪かくしで塗ってるけど。
このように、ほとんどの方が思わず抜いてしまっているようです。

それに、さっさと抜いておくと、黒くなって生え変わりますよ。

あ、やっぱり? 母親がそう言ってたわ。本当なのね
などと、おっしゃる方もいますが、それは本当でしょうか。
白髪は老化の第一歩!?
白髪というと、老化の現れの第一歩的な扱いをされますよね。
あまつさえ「もう、死んでる髪」などと、おっしゃる方もいらっしゃいます。
それはある意味、正しかったりもします。
長く美しい髪も、太くてコシがあり丈夫な髪も、実は髪の細胞が角化したものです。
つまり、死んだ細胞ということです。
髪は、毛細血管から運ばれた髪の栄養を毛乳頭が受け取り、それを毛母細胞へと送り、髪の細胞がどんどんと増えていきます。
増殖していく細胞は上へ上へと押し上げられます。
この押し上げられた部分が角化していき、それが積み上げられて、やがて毛穴から表へと飛び出していくのです。
これが、体毛であり、頭皮であれば「髪」と呼ばれます。
この髪の細胞が生みだされる時に、メラニン色素をきちんとキャッチしていれば黒髪となり、メラニン色素をキャッチしていなければ、白髪となります。
つまり、黒い髪と白い髪は、メラニン色素を持っているかいないかの違いで、両方とも健康な髪という点では同じです。
なので、これを「抜く」ということは、非常にもったいないことですし、毛根を傷つけることにもなるので、おすすめしません。
目立つところにある白髪は、つい抜きたくもなりますが、それを繰り返していると、やがて、その部分の組織が傷つき、新たな髪が生えなくなってしまいます。

・・・もう、白髪を抜くのは、やめるわ。

そうですね。
どうしても気になる場合は、ハサミでカットするといいですよ。
ほかに、ヘアファンデーションでサッと隠すこともできますので、将来にわたって豊かな髪をキープするためにも、もったいないことはやめておきましょう。
ということで、
白髪を抜けば、また黒髪が生えてくる、などということは迷信です。
黒髪がどうして白髪になってしまうの?
黒髪が白髪に変わってしまう原因は、単に毛球部の細胞の一つである、メラノサイトの働きの低下です。

メラノサイトというのは、髪に色をつける色素細胞のことですね。
白髪というのは、毛母細胞で新しく生まれた髪(細胞)に、上手くメラニン(色素)の受け渡しが行われなかったために、起こります。
ただ、それだけのことなので、髪自体は白いだけで黒髪となんら変わりません。
この白髪が成長期を終えて休止期に入り、自然に抜け落ちれば、また同じ毛穴からは新しい髪が生えてきます。
ただ、メラニン色素をつくりだすメラノサイトの働きが鈍っているので、また同じように白髪が生えてくる可能性が高いでしょう。
加齢によるものであれば、メラニン自体が作られなくなり、メラニン色素の減少が白髪が増える原因です。
10代での若白髪であれば、お薬の副作用や、遺伝、また高熱などが原因のことが考えられます。
ただ、強いストレスや病気による一時的なものであれば、その原因を取り除くことによって、メラノサイトの働きも正常に戻ります。
メラノサイトが正常化すれば、その時点から色素を帯びる(黒髪に戻る)可能性も大いにあります。
黒髪が一夜にして白髪になる現象って現実にあるの?
文章の中の表現として、一夜にして白髪になった、などという言い方がありますが、
これは現実には起こり得ない、単に文章表現としての状態描写です。
毛穴から出ている髪の毛というのは、すでに成長を完了して角化した(死んだ)部分です。
その部分のメラニン色素が短時間で消し飛ぶ状態は、科学的にも説明がつきません。

ところが、人間の身体というのは神秘の塊です。
どちらかと言うと、科学的な説明がつかないことの方が多いのかもしれません。
黒髪が一夜にして白髪へ変化する「可能性」と「説」って?
世の中には科学的に証明できないことなど、山ほどあるそうですね。
では、黒髪が一夜にして白髪に変わる可能性も、もしかしてあるのかもしれません。

一夜ってのは、さすがに・・・

あ、でもマリーアントワネットが、一夜にして白髪になったって聞いたことあるわよ
一夜にして白髪 ❤ 1つ目の説
極度のストレスにさらされると、それに近い状態は起こりうるかもしれません。
まず、髪の毛の構造というのは、
(毛表皮)
髪の表面を覆っているツヤを出すうろこ状のキューティクル
(表皮質)
キューティクルの内側にあり、髪のしなやかさを保つコルテックス。
ここにメラニンが含まれているので、髪の色が茶色~黒色に見える。
(毛髄質)
髪の芯となるメデュラ。
この3層から成っています。
そうですね、えんぴつか、かっぱ巻き、を思い浮かべてくださいな。
一番内側の髪の芯であるメデュラは、
えんぴつの芯とはまた少し違って、ところどころ途切れたりもしています。
また、産毛など細い髪や赤ちゃんの毛髪にはありません。
太い髪ほどメデュラが多く存在しているということですね。
そして、このメデュラはというと、空気が詰まっていて、
この気泡がちょうど細かい蜂の巣のようになっています。
ちょうど、そのことに関する動画がありましたので、よかったらご覧ください。

4分少々の動画です。

先生の声が、いい具合に眠気を誘うんですけど・・・。
スタイリスト育成のための講義内容なので、
少し専門的ですが、わかりやすいですよ。
J.B.Cアカデミー 大門哲也著 「毛髪科学マスター〜Science of Hair〜」より

皆さん、起きてください・・・。
さて、「一夜にして髪が白髪~~~」の一説としては、
極度のストレスにさらされたことにより、
何らかの理由でメデュラの気泡の密度が高まり、
光の反射率が上がることによって、
黒色が薄まって目に映る、と言われています。

ん? んん? どういうこと?

少し「光」についてお話しましょうね。
では、まずは、この美しいプリズムの動画をご覧くださいな。
フェリシモのCMだけど、きれいなので使わせていただきました。
このように、太陽の光って、実はいろいろな色が含まれているのです。
ガラスや水晶でできた三角柱(プリズム)に光を当てると、
屈折によって7色に分かれて、反対側から出てくる写真を見たことはないですか?
あの7色が全部、太陽の光には入っているのです。
私たちの目に、赤や紫色として見えるのは、
太陽からの光が、ぶつかった物(障害物)によっては反射したり、
吸収されたりした結果、
私たちが「色」をとらえ、認識するからなのです。
赤いリンゴが赤く見えるのは、
赤以外の色がすべて吸収され、
赤のみが反射されて(はね返って)目に入ってくるからなのですね。
黄色い紙なら、
黄色以外の色は吸収されて、
黄色のみが反射される(はね返ってくる)から。
物が黒く見えるのは、
色が全て吸収されて、
反射されるものが何もないから、黒なのですね。
わずかでも反射があると、そのわずかに反射した分、
黒色が薄まって見えている、ということなのです。

科学の時間、終了!

でも、この説でも、白髪ではないですよね。

うん。せいぜい、白っ茶けた色合いになる程度よねぇ。
栄養不足でも髪色は薄くなりますが、
その場合、艶がなく、すすけた色合いとなってしまいます。
一夜にして白髪 ❤ 2つ目の説
一気に白髪になるほどの衝撃、というのは、
かなり精神に痛手をこうむった状態です。
「精神の危機」は、その個体(ヒト)の生命を脅かします。
すると、何が起こるかというと―――、
脳全体に張り巡らされている神経から、
「ノルアドレナリン」や「ドーパミン」などの、
神経伝達物質がドパッと放出されます。

アラームが鳴り響いている状態ですね。
つまり、命にかかわるほどの緊急事態発生です。

詳しい仕組みは、さて置きます。
人の体がそういう事態になると、
脳が即座に、生命維持を最優先にした指令を飛ばし始めます。
ダメージを最小限にとどめる措置を取らなければなりませんので、
毛髪や爪など、末端への養分の供給は、一時的に絶ちます。
その分を、より重要な箇所へ、ダメージ修復のために回すわけです。

つまり、その間、髪や爪は何も与えられず、
飢餓状態に陥るわけですね。
このような経緯を経て、
その期間中の髪や爪は、栄養不足となり、正常ではない状態となります。
やがて、強いストレスから脱した後、
髪や爪が伸びてきた時に、
白髪であったり、爪が変形していたり黒ずんでいたり、
という変化が見られるわけですね。
一夜にして白髪というのは、やはり解明不可ですが、
ストレスによって栄養の供給がストップし、白髪になることはあり得ます。
そして、ストレスによって胃壁に穴は、一日で開きます。

ストレスを決して甘く見てはいけません。
ストレスが与える髪への影響とは?
一日で白髪になるかはさて置き、
ストレスによる毛髪への影響で典型的なのが、円形脱毛症ですね。
円形脱毛症の場合、ストレスは症状を引き起こす誘因(きっかけ)と言われています。
ほかに、一時的に抜け毛が多くなる、というのもよくあります。
あとは、「爪を見れば病気が見えてくる」とも言いますよね。
つまり、爪や髪は、
生命維持を第一に考える脳にとって、
一番後回しにしていい部分なのです。

髪がなくても、死にはしないもんね・・・。
強いストレスで、どっと白髪が増える!?
例えば、家族の闘病生活の看病疲れや、新しい職場環境でのストレスなど、
長期間における精神的なダメージによって、
徐々に白髪が増えていく、というケースはよく耳にします。
また、交通事故や、大切な人との突然の死に別れ、恐怖など、
かつてないほどの精神的打撃を受けて、
その日を境に、生えてくる髪が白髪になってしまった、ということもあります。
ただ、そこまでの強烈なストレスを受けたとなると、
おそらく、その後もカウンセリングなど、
心のケアおよびリハビリが必要となるでしょう。
一夜にして白髪になってしまったというような方に、
私は実際にお目にかかったことはありませんが、
あるストレスをきっかけに、
その翌年には総白髪となったご婦人はいらっしゃいました。
それまでは多少、やさしい色合いに染めてはいましたが、
根元から生えてくるのは黒髪で、
60代にして、その豊かな黒髪が自慢の方でしたので、
とても痛ましく感じたことを鮮明に思い出します。
その後、徐々に黒髪交じりにはなってきていたようですが・・・。
白髪を増やさないための対策とは?
何かしらの強いストレスということであれば、
原因もはっきり自覚できますが、
そうでない場合、まず食生活を見直すところから、始めましょう。

なぁんだ・・・。

なぁんだ、とは思わないでください。
髪を生み出す工場とも言える毛母細胞は、
活発に細胞分裂や増殖を繰り返している細胞なので、
栄養をとても必要としています。
栄養不足だと、当然、髪自体がうまく作り出せず、
メラニン色素も安定供給されなくなってしまうのです。

今では、育毛サプリメントなどもあるので、
上手に利用してみてください。
急激なダイエットで髪がバサバサになったり、
髪色がくすんだりするのも、栄養の供給が滞ったために、起こる現象です。

でも、何でも食べておけばいいってワケではないですよ。
偏った食生活は薄毛、脱毛症のみならず、成人病の原因となります。
特に、過剰な糖質の摂取は控えてください。
これは、間食をやめるだけでも、かなり改善されますので、
艶やかな髪を幾つになっても維持したいなら、ぜひ、取り組んでほしいことです。
中でも、甘いお菓子と、ジュース類は、極力、控えましょう。
それ以外にも、いろいろと気をつけることはありますが、
やはり、健全な生活習慣、そして、食生活を重点的に改善することが、
美髪を維持するための近道となります。
生活習慣を見直すと、白髪が黒髪に戻ることもあるよ
時おり、抜けた髪をじっと見ると、
途中で色が薄くなっていることがあります。
カラーリングしていたとしても、
白髪は染まりにくいので色の違いはすぐにわかります。
きっと、その色が切り替わった時期に、何らかの変調があった、ということです。
その後、毛根に近い側が再び黒髪に戻っていたなら、「原因は取り除かれました」というサインです。
そういうことで、今ある白髪はどうぞ「美白した黒髪」と思ってやってください。
まとめ
「白髪は抜くと、また新しく黒髪が生えてくる」などと、人生の大先輩である世代から伝えられると、思わず信じてしまいますよね。
ですが、そういったお話はおそらく、
昔、若かりし頃に白髪を抜いた後、何らかのストレスの原因が除かれたので、再びメラニンをまとって生まれてきた黒髪を見て、そのような考えが真実味を帯びて広まった、と思われます。
特に女性は、鏡の中の自分の生え際に一本、キラリと光る白っぽい存在を見つけると、「えいっ」とばかりに抜いちゃいますよね。

だめよ~。
そうやって抜くのを繰り返すうちに、毛球がすっかり傷んで、髪が生えて来なくなってしまいます。
80代ぐらいになった時に、見事に豊かなプラチナブロンドを楽しめるよう、白髪は抜かずに、温存してくださいね。
白髪は美白に成功した元黒髪、です。