
こんにちは、髪ふさアドバイザーの吉宮です。
男性によくある薄毛AGAは『ハゲていないハゲ』とも言われています。
そうは言っても、額の生え際はだんだんと後退しているし、頭頂部だって数年すれば頭皮の色が見えてしまっていますよね。
それでも、薄毛専門の先生は
「AGAはね、あれは実はハゲてるわけじゃあ、ないんだよ」とおっしゃいます。
どういうことなのでしょうか。
今まさに薄毛で苦悩している方は「ンなこた、どっちでもいいだろっ」と思われることかもしれませんが、
実は、この「ハゲているようで、実際はハゲていない」というのが、薄毛を治すために、重要なポイントとなります。
今回は「ハゲていないハゲ」についてチェックしておきたいと思います。
男性の若ハゲ(AGA)は、実はハゲていなかった!?
男性にもっとも多い薄毛「AGA」が進行性だということは、よく知られています。
進行性というのは、年齢とともに、どんどんと薄毛になっていく、ということです。
何も対策をせず放置していると、しだいに薄毛の面積が広がり、地肌が目立つようになっていきます。
高齢男性だけでなく、本来であればそこまで薄毛にならないはずの20代~40代で、すでにそういった症状が現れる方も多いようです。
これがいわゆる「若ハゲ」です。
ところが、この一見「ハゲ」ているように見える部分ですが、実は本当にツルツルになっているわけではないんです。
ハゲている部分をじっくりと観察すると、頭皮表面にまるで産毛のような髪がうっすらと生えていることがわかります。
あまりに細すぎて、ほぼ透明化しているため、無毛状態に見えてしまうんですね。
つまり、これが『AGAはハゲていないハゲ』といわれる所以(ゆえん)なのです。
ところが、この「細くて短いけど、生えている」状態が、薄毛治療には何より重要なんです。
なぜか?
その理由を見ていきましょう。
男性の薄毛が『ハゲていないハゲ』になる原因とは?
男性の薄毛が一見ハゲているようでハゲていないのは、AGAの特徴が関係しています。
AGAの原因は、遺伝と男性ホルモンです。
【AGAの原因と特徴】
- 男性ホルモンの作用による薄毛
- ハゲ方のパターンを持つ進行性の薄毛
- 進行するにつれて髪のミニチュア化が起きる
- 遺伝性である
特に3つ目の「髪のミニチュア化」が大きくかかわっています。

髪のミニチュア化は、軟毛化とも言われています。
髪のミニチュア化とは?
髪のミニチュア化とは、AGAが進行するにつれ、生え変わる髪がだんだんと細く短く、コシのない軟毛になっていくことです。
髪の毛は、一定の周期で生え変わり、このことをヘアーサイクル(毛周期)と呼びます。

髪の一生ってことね~。
男性であれば、1本の髪が生まれてから自然に抜け落ちるまで、短くても2~3年かかります。
伸びていた髪が自然に抜け落ちた後は、毛穴の底で育っていた新たな髪がすくすくと成長し、やがて毛穴から顔を出します。
その後は、休止期に移行するまで、数年かけて健康な髪が伸び続けます。
それが細胞から切り離されるまで成長を続け、休止期に入ると、また新たな髪の赤ちゃんが毛穴の下に生まれ(毛芽)、しばらくすると活動を再開し、髪を作り始めます。

これが、健康な人のヘアーサイクルね?
ところが、AGAを発症している方は、この生え変わりのたびに、髪が少しずつ細く短く軟毛化してしまうのです。

髪のミニチュア化ですね。
これがAGAの特徴の一つでもあり、ほかの薄毛や脱毛症と違う点です。
これは、男性の薄毛(AGA)だけでなく、女性の薄毛(FAGA)でも同じ症状がみられます。

最初のうちは普通に伸びてくるので、なかなか気づきにくいと思いますね。

気づくってことは、もうかなり進行している状態なのよね~。
では、なぜこのような髪のミニチュア化が起こるのでしょうか。
薄毛対策の核心に迫るためにも、知っておきましょう。

・・・大げさじゃない?

知っているのと、そうでないのとでは、大違いってこともありますよ。
なぜミニチュア化が起こるの?
まず、髪の毛が生える基本的なこととして、食べ物というのが最重要な役割を果たします。

体全体が、そうなのですけどね。
口から食べた食物の栄養は腸内で吸収されて、血流にのって体のすみずみまで運ばれていき、そのほんの一部が、末端である爪や皮ふ、毛髪に使われます。
そして髪の毛は、毛乳頭細胞と毛母細胞からなる毛包(もうほう)で育まれます。

毛包って、髪の毛がささってる穴よね?

つまり、毛穴は毛包の出入り口ってことになりますね。
頭皮の下には毛包という筒状の空間があり、毛包の底には、毛乳頭と毛母細胞があります。
その中で成長した髪がぐんぐんと伸びていくわけです。

いわゆる毛根ね?
血流にのって運ばれてきた髪の養分を、十分に受け取った毛母細胞が、元気に細胞分裂を繰り返すことで、髪が成長し、それと同時に毛包もグーンと大きくなっていきます。

これが、ヘアーサイクルの成長期ってことね・・・。
ところが、AGAを発症すると、脱毛ホルモンDHTの妨害行為で、この活動が不十分なまま終わります。

成長期が中途半端に終わっちゃうってこと・・・?

妨害されるので、髪の育成がうまくいかなくなるのです。
やがて、成長期そのものが短くなっていき、髪の成長に合せてサイズアップしていた毛包自体も、動きを止めてしまいます。
当然、毛包の中で育つ髪も、成長が止まってしまいます。
成長が止まるということは、細胞から切り離され、休止期毛へと移行するということなので、育ち切らない、弱々しい髪のまま、抜け落ちていくことになります。
これが、髪が軟毛となるしくみです。
ただ、か細い髪であっても、髪を生みだす毛包組織はきちんと備わっていることから、「髪のミニチュア化」と言われています。

実際の乗用車を、魔法でミニカーにしたような感じですね。

すべてのパーツがそろってて、小人が乗れば実際に動かせる状態ってことね?

・・・そうですね。
AGAの男性の頭頂部と前頭部の毛髪全体の60%前後が休止期毛というのは、頭皮の下でこういうことが起こったための結果です。
そして、60~70%も休止期毛になっている方というのは、かなり薄毛が進行していると思われます。

これが、髪のミニチュア化というものです。
男性の薄毛(AGA)とほかの薄毛や脱毛症、どう違うの?
ほかの薄毛では、髪のミニチュア化は起こらないのでしょうか?
よくある薄毛・脱毛症として、休止期脱毛症と円形脱毛症で確認してみます。
【休止期脱毛症】
休止期脱毛症というのは、わりと環境の変化などで起こりやすい脱毛症です。
病気・出産・大ケガ、転勤、ダイエットなど、精神的・身体的ストレスが影響して発症します。
しくみとしては、ヘアーサイクルの成長期にあった毛髪が、休止期へと移行してしまったために、急に抜け毛が増えてしまうもので、引き金となった原因が取り除かれると、次に生えてくる髪は健康な髪に戻っています。
髪のミニチュア化は起こりません。
【円形脱毛症】
自己免疫疾患とされている円形脱毛症も、軽度から重度のものまでいろいろとありますが、環境的ストレスなどが引き金となって発症します。
インフルエンザにかかったことがきっかけで発症することもあります。
また遺伝性でもありますが、円形脱毛症になる遺伝子を持っていなくても発症することもあるようです。
脱毛する直接的な原因は、毛包やその周辺の炎症によるものです。
脱毛部分は非常にきれいな無毛状態となります。
ただ、脱毛したまま数年経っていても毛根は生きているので、治れば、また硬毛が生えそろいます。
髪のミニチュア化は起こりません。
男性の薄毛(AGA)治療でハゲは治せない!?
AGAの『ハゲているが、実際はハゲていない』ことが、AGA治療にどのように関係しているのでしょうか。
クリニックで薄毛(AGA)治療をしようとしても、「できない」もしくは「やってもいいけど効果は見込めない」と言われる場合があります。
それは頭髪が、産毛でもいいので、
- 髪が残っているか
- どの程度残っているか
- 無毛か
このどれに当てはまるかで、ドクターの判断が変わってきます。
状態によって治療方法や治療の組み合わせも違いますし、かかる費用も、治療後の回復度にも差があります。
また、「いくらかかっても構わん。やってくれい!」と威勢よくのたまったとしても、条件が満たされないなら「いや、無理です」と首を横に振られるだけです。
要するに、AGA治療には、か細い毛であっても、無毛でないことが絶対条件なのです。
ハゲてからでは、治せません。
ハゲたらAGA治療ができない!?その理由とは?
現在のAGA治療とは、DHTの影響を防いで抜け毛を止めることと、低下した発毛機能の活性化です。
いずれも、毛母細胞が生きていることが前提の治療方法です。
AGA治療とは、フィナステリドやミノキシジルなどAGA内服薬・外用薬を使った治療方法、および成長因子などを利用した毛髪再生治療のことです。
この先、毛包自体を培養して移植するような、無毛状態からの回復が可能な再生治療が一般的になれば話は別ですが、まだ時間がかかりそうです。

お金もかかりそうだけどね~。
ツルツルでも回復可能なAGA治療法とは?
AGAが進行して、毛穴が消失してしまった状態でも、回復可能な治療法としては、現在、自毛植毛が唯一の安定した治療法です。
人工植毛もありますが、まだ課題の多い技法なので、あまりおすすめしません。
(自毛植毛と人工植毛については、こちらの記事をご覧ください。)
自毛植毛は、AGAの影響を受けない後頭部などの毛根組織を薄毛部位に移植させる技術で、日本ではかなりハイレベルな植毛施術を受けることができます。
一度、植毛した髪は、その後、特に手入れもいらず、後頭部の髪と同じように生え変わりを繰り返すので、今、再び注目されている治療方法です。
このように、AGA治療には「毛が生えていること」が必須条件ということです。
だからこそ、『ハゲているようでハゲていない』状態が、AGA治療において、とても重要な意味を持つのです。
まとめ
AGAが進行すると、脱毛ホルモンであるDHTによって、頭頂部と前頭部(額の生え際)の髪は、細く短くなり、やがて産毛状でしか生えてこなくなります。
本数自体は変わらないのですが、ミニチュア化しているがために、地肌が目立ち、ハゲているように見えてしまう、ということです。
これが、男性型脱毛症(AGA)は「ハゲていないハゲ」とも言われる、摩訶不思議な症状なのです。
ただし、ミニチュア化がさらに進行すると、産毛さえも生えてこなくなり、AGA治療が適応しなくなるので、要注意です。
やはり早期治療が、薄毛の悩み解決の近道のようですね。