こんにちは、髪ふさアドバイザーの吉宮です。
抜け毛対策でシャンプーを替えたり、育毛剤やサプリを始めたりするのですが、意外と見過ごしがちなのが、毎晩使っている枕カバーの素材です。
ここでは、抜け毛・薄毛対策のために、髪にダメージを与えにくく、むしろ寝ている間に髪をいたわってくれる枕カバーの素材について見てまいりたいと思います。
薄毛と無縁の女子も、美髪・美肌のためには枕カバーのこと、考えてみましょう。
枕で薄毛対策!?育毛ケアが枕で台無しになっているワケとは?
枕で薄毛・抜け毛対策になるのでしょうか?
睡眠中に髪は、けっこうダメージを受けています。
寝返りを打つたびに、頭部の重みと枕によって強い刺激を受け、そこへ汗も加わり、厳しい環境下にさらされるわけです、毎晩。
それは「枕なし派」の方、もしくは寝相の悪さで、途中から枕なしチームも、同様です。
髪が長めの女性の方なら(男性でも)、汗ばむ夏場と、空気が乾燥する冬場に、うなじに髪のダマができて引きちぎった経験はありませんか?
これらは汗蒸れと静電気による刺激を放置した結果です。
寝具であるシーツや枕(カバー)の素材としては、吸湿性や保温性という機能面で、天然素材である、リネン(亜麻)や綿素材のものが圧倒的に多いかと思われます。
夏場には、シャリ感のある麻、もしくは麻混のシーツに変えることで、「涼」を感じて心地よい眠りへと誘(いざな)われますよね。
快適な眠りということであれば、それで十分なのですが、薄毛の悩みを抱え、抜け毛に神経をとがらせる方々には、もう一歩、
「摩擦による刺激」の軽減にまで踏み込んで工夫していただきたいと考えます。
皮膚の弱い方や、美肌を求める方もね。
「髪と肌に似ている」動物繊維のケラチン素材の枕カバーとは?
寝具に適した素材として、
吸湿性、保湿性、保温性、通気性が、ほどよくバランスが取れていて、静電気が起きにくく、なおかつ髪や肌への刺激が少ないもの、ということで探すと―――、
天然繊維である「シルク」と「カシミア」が候補に挙がります。
これらは、天然繊維の中でもタンパク質で構成されている動物繊維です。
カシミア繊維は髪の主成分であるタンパク質(ケラチン)で構成されており、シルクも同じく、人の皮膚に近い成分構成となっています。
人の毛髪の主成分は90%がケラチン(アミノ酸)です。
髪の毛のタンパク質成分であるケラチンは、18種類のアミノ酸が結合したもので構成されています。
また、毛髪の90%を占めるケラチンですが、その中でも最も多く含まれているのが、シスチンです。
このシスチンが多く含まれているほど、丈夫でコシのある髪となります。
髪の毛はとても細いのに、引っ張ってもなかなか切れないのは、
このシスチンの力のおかげなのですね。
動物繊維と髪と肌のケラチンの量を比較してみよう
では、動物繊維と髪や肌のケラチンを比較してみましょう。
下の表では、「羊毛」「ヒトの毛髪」「ヒトの上皮(肌)」「シルク(フィブロイン)」の、それぞれのケラチンを構成するアミノ酸と、その含有率を示しています。
カシミア繊維の代わりに、近縁種である羊毛のデータを代用いたしました。
髪の毛と羊毛の成分(アミノ酸)を比較してみると、髪の毛のほうがシスチンの含有量はやや多いものの、ほぼ人毛と羊毛の成分構成は近しいことがわかります。
【ケラチンのアミノ酸組成表】(含有率%)
※それぞれの数値は平均値を記載いたしました。
※小数点第2位は四捨五入。
この最後のシステインって何ですか?
システインってなあに?
シスチンと似ている名前のシステインとは何でしょう?
実は、とっても大事な成分なので、ちょっと知っておきましょう。
※システインとは?
システインとは、イオウを含んだ成分でシスチンの材料です。
ああ、すっごく、くさいですよね。 髪が燃えた時の臭いは、このシステインの臭いですね。
シスチンは、システイン2分子が結合(ジスルフィド結合)して作られます。
このジスルフィド結合(S-S結合)は、他に比べてとても強い結合なので、
シスチンが多いほど、強くて丈夫な髪ということになるわけです。
人の髪の毛には16~18%のシスチンが含まれています。
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シルクの枕カバーで抜け毛対策?シルクはミラクル繊維だよ
シルクについて注目してみましょう。
一方のシルク(フィブロイン)は、16種類のアミノ酸で構成されています。
その中には、特に保湿効果に優れた、「セリン」と「グリシン」が含まれています。
セリンはヒトの表皮とほぼ同等の量が含まれていて、コラーゲンの3分の1を構成するグリシンは、
ヒトの表皮の約6倍の含有量となっています。
これらの成分は、人間の皮膚においては、柔軟性や弾力性をもたらす効果があります。
ハリのある肌か~、若さの象徴ね。
ただし、シルクが人の肌に直接、柔軟性や弾力性をもたらすわけではありませんので。
シルクの生糸(きいと)って何だろう?
シルクの不思議に触れる前に、シルク繊維の構造を見ておきたいと思います。
【生糸(きいと)ってなあに?】
蚕(カイコ)がつくったマユ玉をお湯につけて一旦ほどき、それを繰り取ったものを生糸(きいと)と呼び、選び抜かれた高品質の絹糸です。 生糸を顕微鏡で見てみると、中の詰まったストロー状になっています。
外側の部分をセリシンといい、中身の部分をフィブロインと呼び、生糸の70~80%を占めています。
セリシンというのはニカワ質で硬いため、通常の織物には不向きです。
織物を染める段階で、このセリシンを除去することで、絹鳴りのするしなやかな絹織物となります。
セリシンを除去する工程を「精練」と言いますが、この精練を行う職人の手が非常にきれいになることに着目し、絹化粧品が誕生したようですね。
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はぁ~、それで化粧水とかにシルクが入ってたりするのね。
単なる気休めじゃなかったんですね。
上質の基礎化粧品によくシルク(加水分解シルク)が入っているのは、
そういった効果を得るためだったのですね。
シルクが人の肌に効果をもたらすワケとは?
シルクは人への親和性が非常に高く、古代エジプトの時代から、外科手術に使用する縫合糸として活用されてきました。
精練されたシルクはヒトにとっては異物でありながら、なぜか拒絶反応の起きにくい物質です。
また、メカニズムは解明されてはいませんが、細胞の再生を促す特性があり、現在、再生医療用の材料としての研究開発も盛んに行われている、ミラクルな天然繊維でもあります。
それが絹(シルク)なのです。
このように、2種類の繊維の構成成分や特性などから見て、シルクとカシミアは、他の生地とは比較にならないほど、髪や肌に刺激を与えにくい―――、
つまり、髪と肌にやさしい素材だ、ということですね。
まとめ
毎日、眠っている間に積み重ねられる刺激(ダメージ)は「一晩」や「ひと月」なら、それほど気になるものではないでしょう。
それでも、こすられることで抜け毛は増えるよね~。
ただ、わずかなダメージも積み重なると、気がつけば大ダメージになっていたりします。
せっかくの育毛ケアや治療効果に、マイナスになるのなら、やはり改善しておきたいですよね。
そういう意味においても、枕(枕なし派ならば、あるいはシーツ)とは一生お付き合いするわけですから、髪に優しい素材を選ぶに越したことはありません。
育毛剤や育毛サプリを選ぶように、これからは枕カバーも薄毛対策として、髪にいいものを選ぶように意識しておきたいですね。