
治験モニターって安全じゃないの?
高額報酬っていうけど、ちょっと怖いかも・・・

こんにちは、吉宮です。
社会貢献をしながら高額な謝礼を受け取れる治験モニターは、ここ数年の間に、幅広い年齢層で関心を持つ方が増えています。
ただ、治験モニターのほとんどは医薬品に関するデータ採取になるので、やはり「副作用とか大丈夫なのかな・・・?」という不安を感じる方も多いと思います。
そこで今回は、副作用もふくめて治験モニターのメリットやデメリットをいろいろと調べてみました。
治験モニターに初参加を考えている方は、登録前にチェックしておくと、「え、こんなの聞いてないよ」というミスマッチも回避できると思います。
治験モニターって、どんなバイト?
高額バイトとも言われている治験モニターですが、実際はボランティア活動の一環です。
活動の内容は、いたってシンプル。
医師の指導のもと発売前の新薬や新商品を実際に使用して、その効果・効能と安全性のデータ採りに協力する、というものです。
ボランティアにもかかわらず高額なバイト料を受け取ることができるのは、各企業から参加者への謝礼金が出ているためです。
つまり、治験モニターは有償ボランティアということです。
治験モニターの種類(通院or入院)と違いとは?
治験モニターには、大きく分けて2種類あります。
在宅で参加できる通院タイプと、治験施設に宿泊する入院タイプです。
- 通院タイプ(日常生活のまま定期的に通院する)
- 入院タイプ(治験期間中は宿泊する)
どちらを選ぶかは自由ですが、生活スタイルに合わせて無理なく参加できるものを選ぶのが無難でしょう。
タイプは違っても、モニターの役割はデータ採取の協力です。
正しいデータ採取のため、どちらのタイプにも決まり事(ルール)があります。
このルールについては、後ほどチェックします。

このルールも場合によってはデメリットと言えないこともないんです。
治験モニターのメリットとは?参加してよかったこと
治験モニター経験者の男女から、治験モニターとして参加することの意義や、参加しようと思ったきっかけなど、メリットに通じる部分を教えてもらいました。
20代~60代までの治験モニター経験者(67人)から得た回答を参考にしています。
- 謝礼金が本当に高額で満足した
- 検査以外、特になにもしなくてもよかった(入院タイプ)
- 検査以外、自由時間が多くてオンラインゲームを堪能した(入院タイプ)
- 新商品(健康食品・化粧品など)が無料で試せた
- 新薬が使えた(疾病モニター)
- タダで健康診断してもらえた
- 専門医から重要なアドバイスがあった
- 参加するだけで社会貢献になるのがうれしい
- 人付き合いが苦手でもできるボランティア
友人・知人へのアンケートなので、あからさまなものから真面目なものまでありましたが、メリットとしてはこのような内容でした。
受け取った謝礼金の額に関しては、全員が「満足」という回答でした。
ただこの謝礼、時給換算すると「まあ、そんなもんか」という金額なのですが、余った時間で得た副収入としては満足感があったようです。
その他、治験モニターには金銭的な自己負担がないので、参加しても損しないという点も気楽だったようです。
たとえば、治験モニターに応募すると、事前検診(健康診断)があります。
自費で受けようとすると数万円かかる検査ですが、これが無料で受けられます。
さらに、この日の謝礼として、通常5,000~1万円程度の負担軽減費が受け取れます。

この謝礼で、会場までの交通費等が、だいたいまかなえます
この事前検診の後、モニター応募の当選者が決まる、というわけです。

落選しても損はしないから、いいよね
治験モニターのデメリットとは?参加してわかったこと
次は、治験モニターのデメリットに焦点を当ててみます。
治験モニターに参加してみて初めてわかったデメリット集ということで、「ここがキツかった」「きびしいと感じた」という点をピックアップしました。
- 決められた時間に用法・用量を守って使用するのが、けっこうしんどい(在宅モニター)
- 決められた日に、検査のために通院しなければならない(在宅モニター)
- 日記のように記録をつけさせられるのがめんどくさかった(在宅モニター)
- 検査で採血(血液検査)が多かった
- 就寝時間に制約があった(入院タイプ)
- 時間と行動の自由がかなり制限された(入院タイプ)
- 副作用などが出る可能性にビクビクした
- プラセボ(偽薬)グループだったかもしれない
こうして並べて見てみると、何をデメリットと感じるかは、治験モニターさんの性格によるところも大きいようです。
在宅での治験モニターだと、決められたルールを守るための自己管理ができなければなりません。
きっちり守れる人には何でもないことが、大ざっぱな性格の方には、難しく思えるのかもしれません。
自己管理に自信がない方は、入院タイプの治験モニターのほうが向いているかもしれません。
入院タイプだと、施設にいる間は「オハヨウからオヤスミ」まで、看護師さんがスケジュール管理を徹底してくます。
その点はお任せできるので安心なのですが、集団生活・団体行動が苦手な方にとっては、自由が制限されることでストレスを感じるかもしれません。
このように、デメリットとメリットは表裏一体で人によって感じ方は異なる、ということですね。
ただ、次の3つを治験モニターのデメリットとして挙げる方が多かったです。
- 採血
- プラセボ
- 副作用
☑採血の回数が多い
ほとんどの治験では、採血が行われます。
特に入院タイプの治験モニターは一日に数回の血液検査を行うので、採血(注射)が苦手な方にとっては、精神的苦痛となるかもしれません。

普通の注射と違って、採血はそれほど痛くはないですけどね
どうしても採血がダメという方は、採血不要の治験案件もあるので、そういったものを探してみてください。
通院タイプで見つかるかもしれません。
☑プラセボ(偽薬)のグループに振り分けられる可能性もある
治験には、いろいろなテスト方法が存在していますが、中にはあえてプラセボ(偽薬)を使うケースがあります。
ニセモノ(偽薬)といっても、体に悪いものではありません。
偽薬は、本物の薬と見た目はそっくりですが、中身が単なる食品やデータに影響のないビタミンだったりします。
プラセボを使うワケとは?
プラセボをあえて使う理由は、薬の本来の効き目を正確に知るためです。
というのも、薬ではない物でも「これは良く効く薬」と思い込んで服用すると、病気が改善してしまう、ということがあります。
これを「プラセボ効果」といいます。
要するに、思い込みで病気が治ってしまう現象で、実際に一定数の割合で起こるそうです。
ただ、このプラセボ効果は、薬の正確な情報を得るためには不要な要素です。
そこで、新薬(真薬)グループとプラセボ(偽薬)グループとに分けて、その効果を比較する試験を行うわけです。
どちらに振り分けられるかは、運次第。
とりあえず、プラセボ(偽薬)グループだと、副作用の心配など一切ありません。
裏を返せば、新薬の効果(恩恵)も一切、受けないということです。
プラセボ(偽薬)グループに配属されることが、メリットかデメリットかは考え方次第、ということになります。
☑副作用の可能性
いよいよ治験モニターのデメリット第一位の副作用です。
治験モニターをためらう理由の一つが、この「副作用が出るんじゃないか」ということです。

副作用って・・・ホントにあるの?

その可能性はあります
治験にもいろいろあって、化粧品類や食品のテストでも人によってアレルギー症状が出る場合もありますが、もっとも副作用のリスクが高いのは、やはり薬のテストです。

副作用のリスクを避けたいなら、医薬品以外の治験モニターを選ぶといいですね
ただ、副作用というのは、すでに販売されている市販薬にもあります。
身近なところでは、風邪薬や花粉症の薬を服用したときの「眠気」などがあります。
例)ねむけ、だるさ、腫れ、かゆみ・・・etc
治験で予想される副作用に関しては、参加前の事前説明会できちんとした内容のお話があるので、それを聞いてからモニター参加するかどうかを決めることができます。
治験モニターの種類によって異なるデメリット
治験モニターに参加すると、「このようにしてください」という参加ルールがあります。
この「ルール」というのは、ある意味「しばり」でもあるので、人によってはそれをデメリットと感じる場合もあります。
守るべき規則=デメリットかもしれない
このルールは、個別の治験案件によっても異なりますが、ここでは通院タイプと入院タイプに分けて、共通しそうな部分で参加ルールをチェックしていきたいと思います。
(通院タイプ)治験モニターの参加ルール
通院タイプでは、普段どおりに生活しながら、治験モニターができますが、禁煙や飲酒の制限、運動の制限などが課せられることもあります。
また、指定日に医療施設に行って検査を受ける必要があります。
- 決められた用法・用量を守って治験薬や商品を使用する必要がある
- 指定された日時に病院で検査を受ける必要がある
- 行動を制限されることがある
- 記録(日記形式)提出を求められることがある
(入院タイプ)治験モニターの参加ルール
入院(宿泊)タイプの治験では、指定日に治験施設に入所した後は、治験終了日まで医師と看護師のサポートで治験モニターを務めます。
基本的に検査をする時間以外は自由行動で、施設内で好きなことをして過ごします。
暇つぶしのための本やDVD、ゲームなども豊富に用意されています。
3食昼寝付きの合間に検査が行われる、そんなイメージです。
ただし、起床時間~就寝時間まで、きっちりとしたスケジュール管理下で過ごすことになります。
- 行動の自由が制限される
- 治験中の外出・面会制限がある
- 他の治験モニターとの共同生活となる
- 夜更かしができない
- 朝寝坊ができない
- 空調の温度調節が自由にできない
- 自由な飲食ができない(買い食いも持ち込みもNGです)
入院タイプの治験モニターがどのように過ごしているかは、参加者の体験談をこちらの記事に載せているので、興味のある方は参考にしてください。
最近、『治験モニター募集』の広告をよく見かけるようになりましたが、その仕事内容とは実際どのようなものなのでしょうか? 治験モニターに興味があっても、実態がわからなければ不安ですよ …
治験モニターのメリット・デメリットは表裏一体
タイプ別のルールを見ると、「~しなければいけない」特集のようにまとまってしまいました。
先ほど述べたように、これらをメリットととらえるか、デメリットととらえるかは、人それぞれです。
- (メリットに感じた場合)
⇒規則正しい生活ができて体調がよくなった。
- (デメリットと感じた場合)
⇒確かに健康的だろうけど、息が詰まりそうでキツかった。

こんなふうに、とらえ方次第ですね。
また、就寝時は他の治験モニターさんとの相部屋なので、共同生活に近いものがあります。
それに加えて外出や面会も制限され、人によってはストレスに感じる方もいます。

隣の人のいびきがうるさかったり?

気になる方は、耳栓とアイマスクを準備していくそうです。
治験モニターに参加するなら、どちらのタイプが自分には向いているのか考えてから応募してみるといいですよ。
まとめ
治験モニターに参加してみたものの、考えていたものと違ってた、という理由で途中棄権してしまわないためにも、前もってメリットとデメリットは確認しておいたほうがいいと思います。
特に、デメリット面をひととおり確認してみて、自分は大丈夫そうだと思えば、治験モニターに参加してみてください。
日本は医学ボランティアが常に不足しているので、大歓迎されること間違いなしです。

日本製ワクチンが遅かったのも、日本人モニター不足で国内での治験が成り立たなかった、ということも要因の一つだそうです
治験モニターが増えることで、より効果の高い新薬や新商品がすみやかに販売されるようになり、それを待ち望んでいる人に届きやすくなります。
こんな社会貢献も、ありだと思います。