治験モニターって安全じゃないの?
高額報酬っていうけど、ちょっと怖いかも・・・

こんにちは、吉宮です。
今回は、治験モニターをする上でのメリットやデメリットを確認していきたいと思います。
治験モニターというと、有償ボランティアということもあって社会貢献とお小遣いの一挙両得で、近ごろ人気が高まっています。
けれど、治験はお薬などのテストですので、やっぱり副作用の心配もあります。
初めて治験モニターに興味を持ったときには、ついついメリットにばかり注目してしまいがちですが、ここではあえて、「どのようなリスクがあって」「どの程度のデメリットなのか」ということにも、目を向けておきたいと思います。
せっかく治験モニターに選ばれたのに、途中で挫折してしまわないためにも、メリットとデメリットの両面をしっかり理解しておきましょう。
治験モニターとは何?どんなことをする人達なの?
そもそも治験ってどういうものなのでしょうか。
治験(臨床試験)というのは、何十年もかけてようやく開発した薬を、厚生労働省に承認してもらうためのテストです。
新たに開発して完成したばかりの薬は、まだ「お薬の候補」というだけで、そのままでは販売させてもらえません。
新薬として発売にこぎつけるには、治験を実施して、効果と安全性を証明するデータをそろえなければなりません。
必要な治験データを厚労省に提出し、認可を受けて初めて「お薬の候補」は「薬」として全国の病院・薬局などで発売されます。
たとえば、薄毛の治療薬であるフィナステリドやデュタステリドなども、この国内の臨床試験をきちんと行った上で、クリニックで販売されるようになりました。
薄毛治療薬として、効果と安全性の評価が認められたから、ですね。

ミノキシジルは発毛剤(育毛剤)として薬剤師のいるドラッグストアで買えます。
このように、長年かけてつくったお薬を発売するには、治験は避けて通れない最後の関所のようなものです。
しかも、お薬は人のために開発されたものであるため、最後の治験は人が参加して行わなければなりません。

動物や、培養した細胞を使った試験データではダメなんです。
そこで、求められるのが、この治験に協力してくれるボランティアさん達です。
治験モニターは治験の協力者?
治験コーディネーター(CRC)を行う組織が、公募して集めたボランティアさんの中から、それぞれ治験の条件に合った人たちに、モニターをお願いします。
治験モニターとなったボランティアさんは、治験を行う医療機関にて、専門医と協力して、開発した薬の効果と安全性の評価を行います。
その治験データが厚労省に認められれば、「お薬の候補」は晴れて「新薬」として全国で販売されるようになる、ということです。
ここでわかるのは、治験モニターの存在の重要性ですね。
治験モニターがいなければ、どれほど優れた新薬であっても、それを必要とする患者の手元に届けられることはない、ということです。
そのため、治験の依頼主である製薬会社は、莫大な費用をかけて、この最終段階の治験(臨床試験)を行い、販売開始にこぎつけるのです。
その一部が、治験に協力してくれたボランティア(治験モニター)さんへの謝礼として使われています。
治験モニターは報酬がある有償ボランティア
治験モニターは有償ボランティアです。
有償というのは、ボランティア活動に対して、依頼した側が何らかの形で謝礼を渡す、ということです。
治験モニターへの謝礼は、お金という形で渡されます。
これは、通院にかかった時間や費用、もろもろの負担に対してむくいるための謝礼です。
平均して一日あたり1~2万円程度の謝礼金が負担軽減費として治験終了後に支払われます。

治験の内容や通院や宿泊かによって差異はあります。
治験モニターの種類はいろいろ!?
以前は、治験というとお薬に対するものばかりでしたが、最近では、薬機法の改正によってお薬以外の治験が急増しています。
お薬以外というと、
トクホ(特定保健用食品)や最先端技術で開発した化粧品類などがあります。
これらは、特定の機能や効能を商品情報としてパッケージに表示したり、宣伝文句に使用したいという目的(販売承認)のため、行われる治験です。
【医薬品】
【薬以外】
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ほんの一部ですが、こんな感じですね。
いわゆる腸内環境を整えるのに役立つヨーグルトや、健康のためのお茶や、ビスケットなどですね。
スーパーやコンビニで行けば、健康に役立つと書かれた食品がたくさんありますよね、あれです。
こういった食品関連、化粧品(育毛剤やシワ改善美容液など)の治験モニターも多数あるため、ひと昔前の、あやしくダークなイメージは今はありませんね。
治験に関する情報が、インターネット経由で手軽に入手できるようになった、ということも一役買っていると思います。

妙な情報もわんさかあるけどね~。
今や、子育てに一段落した主婦や学生などが、明るく楽しく、ちょっとしたお小遣い稼ぎやアルバイト感覚で治験モニターに応募するケースが目立って増えているようです。

でも、女性モニターの募集ってほとんどが通院タイプよね~。

ン十万も稼げるのって、入院タイプなんですよね・・・。

在宅でできるんだし、通院もかえって気楽でいいじゃないですか。
このように、女性の間でも広まってきた治験モニターというボランティア活動ですが、その魅力とは何なのでしょうか。
女性の間で人気が出始めるということは、何らかの「おいしいメリット」があるはずです。
そのメリットについて、探ってみたいと思います。
治験モニターに参加するメリットとは?
治験モニター経験者の男女から、治験モニターとして参加することの意義や、参加しようと思ったきっかけなど、メリットに通じる部分を教えてもらいました。

その結果が、こちらです。
【治験モニターのメリット】
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20代~60代までの治験モニター経験者(67人)からの回答で、共通部分をまとめてピックアップしてみました。

少し、補足しておきますね。
【健康診断(事前検診)】
治験モニターになる前には、必ず健康診断を受けます。
これは、治験を受けても問題ないかどうかをチェックするもので、基本的には身長・体重・採血・採尿・心電図・レントゲン撮影などを行います。
応募した治験内容によっては、さらに別項目を検査することもあります。
会社の健康診断を受けていない人などは、ちょうどいい人間ドッグに参加した気分となるようです。
検査費用は無料で、ここでも謝礼がもらえます。

事前検診では、5千円前後の謝礼が多いようです。
【自由時間】
通院タイプの治験モニターは、普段通りの生活を送りながら、在宅で治験薬や商品を決められた時間に決められた用量を守って使用します。
そして、決められた日に指定の病院に行って、検査を受けます。
一方、入院(宿泊)タイプの治験モニターは、一日のうち定期検査の時間以外は院内で自由に過ごせます。
宿泊する施設内には、ゲームやパソコン・DVD・マンガなど娯楽設備が充実しているところが多いので、手ぶらで参加しても退屈はしないようです。
【20~40代までの男性の感想】
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もちろんWi-Fiも整っている施設も多く、スマホやノートパソコンを持参すれば、ひとり黙々と仕事をすることも可能です。

治験によってはスマホ制限もありますが、前もって確認できます。
治験モニターをする動機(目的)とは?
治験モニター経験者からアンケートを回収してみたところ、
50代以上の方では、
社会貢献と健康面でのメリットを期待した回答が多いようです。
30~40代では、
社会貢献や健康面も挙げているのですが、どちらかというと「高額報酬」が実はメイン、という結果でした。

ちょっと参考までに、
当たり障りのないところをみてみますね。
【30代~の男性の感想】
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こんな様子です。

無邪気で素直で、ある意味、とても好感が持てます。
さらに20代では、
フリーランスか学生の方がほとんどで、時間を有意義に使っての治験バイトと割り切って参加している感じですね。

「社会貢献?・・・ハァ?」という感じでしたね。

つくろわない素直さが・・・まぶし過ぎて、お姉さん、思わず沈黙しちゃったぁ~。

それでも、いいんです♪
特に夏休みなどのまとまった休暇中に、入院(宿泊)タイプの長期を選んで参加している方が多かったですね。
また、治験を実施する側も、人が集まりやすい時期を考慮して治験計画を立てています。
あと念のため、
治験はバイトではなく、あくまでもボランティアです。

治験バイトで検索して、妙な募集に応じないように注意してください。
ここで大事なのは、動機そのものよりも、実際に行動することだと思います。
そのことが、見知らぬ土地の見知らぬ誰かの助けになるのなら、意義ある行動と言えるでしょう。

では、つぎはデメリットを見てみましょう。
治験モニターに参加するデメリットとは?
それをデメリットと感じるかどうかは人それぞれです。
説明会などで前もっていろいろと説明はありますが、実際に参加してみて気づくデメリットもあるようです。
ここでは、治験モニターに参加した方々が、それぞれ「ここがちょっと大変だった」と感じたデメリットについて、確認していきます。
【治験モニターのデメリット】
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おおまかにデメリットを挙げると、以上の5点となります。
もう少し、くわしく内容を見ていきたいと思います。
【治験期間中のルール】
治験には、通院(在宅)タイプと入院(宿泊)タイプがあって、それぞれに「決まり事(ルール)」が課せられます。
《通院タイプの治験ルール》
通院タイプでは、普段どおりに生活しながら、治験モニターができますが、禁煙や飲酒の制限、運動の制限などが課せられることもあります。
指定日に医療施設に行って検査を受ける必要があります。
- 決められた用法・用量を守って治験薬や商品を使用する必要がある
- 指定された日時に病院で検査を受ける必要がある
- 行動を制限されることがある
- 記録(日記形式)提出を求められることがある
《入院タイプの治験ルール》
入院(宿泊)タイプの治験では、
指定日に医療施設に入所した後は、治験終了日まで医師と看護師のサポートで治験が進行します。

言われたとおりにすればいいだけだし、楽よね~。
3食昼寝付きの合間に検査が行われるイメージです。
基本的に、検査の時間以外は、昼寝をしようがDVDを観て過ごそうが、本人の自由です。
ただし、起床~就寝時間まで、きっちりとしたスケジュール管理をされた中での、他のモニターさんとの共同生活となります。
これをメリットととらえるか、デメリットととらえるかは、人それぞれです。

規則正しい生活ができて体調がよくなった♪

健康的だったけど、規則正しい生活ってキツかった。
こんなふうに、とらえ方次第ですね。
また、就寝時は他の治験参加者と相部屋となり、外出や面会も制限され、人によってはストレスに感じる方もいます。
- 行動の自由が制限される
- 治験中の外出・面会制限がある
- 他の治験モニターとの共同生活となる
- 夜更かしができない
- 朝寝坊ができない
- 空調の温度調節が自由にできない
- 自由な飲食ができない
自由な飲食というのは、
病院で用意される食事以外の間食はすべてダメということです。
これは、モニターさん全員が同じ条件のもとで治験を行う必要があるためです。
勝手に持ち込んだスナック菓子やカップ酒は全部没収ですので、何も持って行かないようにしましょう。

見つかった時点でクビになるわよ~。
【血液検査をする】
ほとんどの治験では、血液検査(採血)が行われます。
特に入院(宿泊)タイプの治験では、一日に数回、血液検査を行うので、採血(注射)が苦手な方には苦痛に感じるかもしれません。
私も注射が苦手ですが、血液を抜くだけの採血は、痛みはやや少ないと思います。
どうしても採血がダメな方は、採血不要の治験案件もあるので、そういったものを探してみてください。
【プラセボの可能性あり】
治験には、いろいろなテスト方法が存在していますが、その一つにプラセボを使うケースがあります。
プラセボというのは簡単に言うと「偽薬」です。
形も色もにおいも、治験薬そっくりに作られていますが、内容は体に害のないビタミンなどの成分でできています。
昔から、「病は気から」という言葉があるように、実は薬ではないけれど、薬だと思いこんで服用すると病気が良くなった、というケースはよく聞きます。
これを
「プラセボ効果」と呼びます。
治験でプラセボを使うグループをわざわざつくって調べるのは、プラセボ効果で改善してしまうケースと、新薬の効果で症状が改善するケースとを見極め、それを比較することで、新薬の本当の効き目を証明するためです。
ちなみに、多くの治験では
二重盲検(にじゅうもうけん)という方法でテストを行います。
二重盲検は、治験薬を扱う医師や看護師も、それが本物の薬かプラセボか、一切知らされていない状態で、モニターと接する方法です。

いくら聞いても、カマをかけても、
顔色を読もうとしても、真実はわからないってことね~。

医師は、それが本物と思っているので、真剣に診察していますよ。
このプラセボに当たった場合、身体にとっては無害なので副作用の心配はなく、安心・安全で、謝礼ももらえて言うことないはずなのですが、新薬を体験する機会は逃します。
それが、ちょっぴり残念だったりもしますね。
【副作用の可能性】
いよいよ治験モニターのリスクであり、デメリット第1位の「副作用」です。
治験モニターをためらう理由の一つが、この「副作用が出るんじゃないか」ということです。

副作用って・・・あるの?

その可能性はあります

やっぱり、あるんだ~。
治験にもいろいろあって、化粧品類や食品のテストでも、人によってアレルギー症状が出る場合もありますが、もっとも副作用のリスクが高いのは、やはり薬のテストです。
副作用のリスクを避けたいなら、医薬品以外の治験モニターを選ぶという方法もあります。
ただ、副作用というのは、すでに販売されている市販薬にもあります。
副作用のない薬はない!?
身近にある副作用と言えば、
例えば、風邪薬には「眠気」や「のどのかわき」などの副作用がよく知られています。
ほかにも、薬の種類によって、「胸やけ」「発疹」「むくみ」「めまい」「食欲がなくなる」「食欲増進」など、
いつもと違う感覚や症状が現れると、それは副作用の可能性があります。
このように、求めた効果以外の、意図しない効果のことを副作用と呼びます。
【お薬の作用の区別】
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でも、時にはこの副作用が別の症状の改善に役立つこともあるんですよ。

あ~、ミノキシジルもそうね。
そして、「副作用のない薬はない」とも言われています。
そうは言っても、副作用は起きない方がいいに決まっていますよね。
治験に使われるお薬は、人の体への安全性を厳重に確認し、問題ないと予想されたものだけが使用される決まりとなっています。
仮に、治験中に副作用が出た場合には、治験を行う医療機関が適切に対処します。
どんな副作用があるかは、前もってわかる!?
実は、治験モニターを開始する前には、モニターを希望するボランティアさんへの事前の説明会があります。
事前説明会では、治験を行う医療スタッフから直接、治験の目的や内容、テストするお薬の効果などについて、ていねいな説明がされます。
当然、その中には、想定される副作用についての説明もあります。
想定されるということは、副作用として「これらの症状が現れる可能性がある」と、すでにわかっているということですね。
そういった副作用の可能性もふくめて、モニターさんの健康にダメージをもたらす危険性はない、と判断されて治験実施の許可が出たことになります。
ただ、怖いのは体質などにより、想定外のアナフィラキシー症状などが起こった場合ですが、治験を行う医療施設は緊急事態にも対応できるようになっています。
治験モニターに参加する前には、想定外のことが起こらないように、くわしい検診がありますが、自分の体についての情報は、包み隠さず正直に報告しましょう。

隠さないこと。
これ大事なポイントです。
【事前説明会の内容】
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こうした説明に納得した場合のみ、モニター参加に同意します。
これを「インフォームドコンセント(説明と同意)」と呼びます。
この時点で、もし怖くなったり、納得できなければ、不参加を決めても何ら問題ありません。
参加するかどうかは、完全に本人の自由意志です。
ほかにも不安に思うことや、聞きたいことがあれば、この時に質問してみましょう。
治験中に副作用が出てしまったら?
仮に、治験期間中に副作用が出てしまった場合、きちんと処置してもらえます。
その時にかかる治療費も、治療のための入院費や交通費などすべて、治験の依頼者である製薬会社側が負担します。
つまり、副作用症状を治療するための金銭的な負担は、モニターにはありません。
万が一、重篤(じゅうとく)な副作用や、後遺症が残ってしまった場合も、製薬会社の手厚い補償が受けられます。
また死亡した場合は、遺族への補償も行われます。

そんなのは、イヤです。

万が一、の話です。
そういうことが起こらないため、また起こさないために、治験は医療機関と製薬会社、治験審査委員会、そして国とが連携して、常に治験の実施計画と治験の安全性の確保を行っています。
まとめ
ここまで、治験モニターのメリットとデメリットを見てまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
治験モニターに興味を持ったものの、参加をためらう理由の筆頭は、やはり「副作用が出るんじゃないか」ということです。
そこから連想して
「治験モニターって、なんとなく怖い」というイメージが出来上がってしまっているように思えます。
もちろん、くわしい情報がなければ、警戒して当たり前ですよね。
ですが、今はネット上で必要な情報のほとんどが、簡単に手に入る時代です。
興味を持ったものの、ためらう気持ちがあるなら、そのためらいの原因を調べてみましょう。
その上で、改めて治験モニターという有償ボランティアに参加する価値があるかどうか、判断してみてください。
その判断材料として、この治験モニターのメリット・デメリットを役立ててくださいね。
どのようなボランティア活動にも言えることですが、あなたが参加することで、あなたの知らない誰かが助かっていますよ。
治験モニター登録サイトを探している方は、こちらを参考にしてみてください。