こんにちは、髪ふさアドバイザーの吉宮です。
AGA(男性型脱毛症)と呼ばれる、男性に特有の薄毛症状は、放置すると進行すると言われています。
では、男性の薄毛は、どのように進行していき、最終的にはどうなるのでしょうか。
また、完全にハゲた状態で、AGA治療は有効なのでしょうか。
今回は、薄毛が進行していく過程や、薄毛のレベルによって効果がある治療法と効果がない治療法などを確認してまいります。
抜け毛が気になり始めた方も、すでに薄毛に悩まされ、本格的に治療を考える方も、今後の薄毛対策の参考にしてみてください。
AGA(男性型脱毛症)は、実はただの体質だった?
男性の典型的な薄毛というと、AGA(男性型脱毛症)です。
AGAというと、頭頂部と額の生え際がO字とM字型にハゲていくパターンを持つ、薄毛症状です。
街中でよく目にする、男性の薄毛ね。
これは、遺伝と男性ホルモン作用によって起こるもので、かんたんに言えば、その人の受け継いだ「体質」のようなものです。
人よりもちょっと「太りやすい」というのと同じですね。
人よりもちょっと「ハゲやすい」ということ?
この体質というのは、「絶対に○○になる」というような、避けられない運命ではなく、そうなりやすい、というだけのことです。
努力次第で、この体質を制御することも、十分に可能で、これをエピジェネティクス(後天的遺伝子制御変化)と呼びます。
エピジェネティクスは、特別なことでも、難しいことでもありません。
例えば、一卵性双生児であっても、何らかの事情でまったく別環境で育つと、生活習慣などの違いから、片方は肥満体形であっても、もう片方は理想的な体形で健康を維持しているケースは珍しくありません。
薄毛も「体質」と捉えると、同じことが言えますね。
ただ、この薄毛というのは、あまりごまかしがきかず、外見(見た目)にかなり影響をおよぼします。
このことが、人によっては、相当な精神的ダメージとなり、しいては生活の質(QOL)に多大な影響を与えかねません。
もちろん、多くの方が開き直って、強くたくましく、明るく生きていますけどね。
AGAが進行しても、おしゃれな人は独特のおしゃれ感でキャラを確立していますし、いっそスキンヘッドで、女性から「♥」な視線をかき集める、ハイレベルな男性もいらっしゃいます。
♥ハゲてもモテるヒント♥
スキンヘッドを選択するなら、肉体を鍛えてくださいね。 最低限、腹筋はくっきり6つ、ですよ。 大胸筋と上腕二頭筋も、セットで鍛え上げましょう♥ スーツがビシッと決まる体形でないと、僧侶になっちゃいますからね。 僧侶でもいいんですけど、ちょっと違うというか・・・。 いや、いいんですけどね・・・。 (吉宮 拝) |
一方で開き直れない方や、
職種によってはハゲ=失業という過酷な業界の方々も大勢いらっしゃいます。
これは、ハゲたからクビ、というのではなく、仕事のオファーが激減して、最終的に撤退することになってしまうという、厳しい現実のお話です。
ハゲたっていいじゃない、というのは簡単ですが、人それぞれに、ハゲられない事情というのもある、ということです。
そういう方のためにも、努力うんぬんのエピジェネティクスは脇に置いておき、AGAの現実について、確認しておきたいと思います。
あ、でも・・・逆に、お寺の僧侶になると、浄土真宗以外の宗派では、ツルツルにしないといけなかったりしますね。
お坊さんは、AGAを気にする必要なし、ですね。
AGAは進行性!放置すると毛穴がなくなる!?
追い打ちを掛けるわけではないのですが、AGAは進行性です。
進行性というのは、放置していてストップすることはないということです。
時間が経てばたつほど、薄毛は目立ってきます。
どこまで進行するかというと、髪の細さも短さも極まり、やがて毛母細胞が破壊され、新たな細胞も生まれなくなり、髪の再生が不可能になります。
そして、ついには毛穴が消失して、完全な無毛となるまで、AGAは進みます。
脱毛ホルモンDHTによって乱れるヘアサイクル
AGAで薄毛になっていく原因にヘアサイクルの乱れがあります。
髪の毛の成長は、主に「成長期」「退行期」「休止期」という三つの季節(ステージ)によって成り立っています。
このうち成長期というのは、髪にとってとても大事な期間です。
男性であれば通常3~5年間あり、この間に毛母細胞が分裂・増殖を繰り返し、それが角化して太くて丈夫な髪に成長していきます。
角化(かくか)というのは、私たちが「髪」と呼んでいる部分のことで、細胞が死んで、硬くなった状態のことです。
ところが、思春期以降にAGAが始まると、血中の男性ホルモン濃度が高まり、より強力な男性ホルモン「DHT」が発生します。
このDHTが、髪を育む毛母細胞を攻撃し始めるのです。
DHTは、俗に脱毛ホルモンなどと呼ばれています。
毛母細胞が弱ってくると、ヘアサイクルが乱れ、成長期が短くなっていきます。
もともと3~5年あった成長期は、
3年から2年へ、2年から1年へと短縮し、やがて8か月、6か月、2~3週間という高速回転するヘアサイクルができあがってしまいます。
つまり、成長期の長さがほぼ髪の一生ですから、AGAになると、数か月しか髪が育たず、それで抜け落ちてしまうわけです。
成長期間が短いということは、そのまま、髪が育ち切らないということでもあります。
毛穴が消えるとき
細胞の分裂回数にはそれぞれ限界があります。
古い髪が成長を終えて、休止期に入ると毛芽(もうが)が生まれ、それが成長期⇒退行期⇒休止期となり、また新たな毛芽が生まれて成長し・・・を繰り返すのですが、
毛芽を生みだす幹細胞も、やがて細胞分裂の限界を迎えます。
これをヘイフリック限界と呼びます。
人間の毛髪は、一生に50回程度、生え変わると言われています。
生え変わるということは、1ヘアサイクルを終えるということです。
AGAの方の場合、通常の数倍もの速さでヘアサイクルを繰り返しています。
普通であれば、3~6年でヘアサイクルを1周(サイクル)するところを、AGAになると6か月ほどで1周を終えてしまうわけです。
つまり、薄毛でない人に比べて、かなり早期に髪が生えなくなり、役目を終えた毛穴は消えてしまうということです。
これがどのような状態かというと、前頭部と後頭部とがきれいにハゲあがり、帯のように後頭部と側頭部の髪が残った、あの独特のヘアスタイルです。
進行性のAGAが行きつくところは、人種を問わず、波平お父さんのヘアスタイルということですね。
もしかして、世界でもっとも男性に多いヘアスタイルってこと?
進行度で変わるAGA(男性型脱毛症)の治療法
世界中でもっとも男性に多いヘアスタイルですが、これがどうしても受け入れられない場合、どのような治療法があるのでしょうか。
ほんの少し前まで、植毛以外、大して効果の得られない方法ばかりが出回っていましたが、近年になって、ようやく医療機関で効果的な薄毛治療法が確立してきました。
と言っても、どんな状態の薄毛・若ハゲでも、同じ治療法で治るわけではありません。
それぞれの薄毛の状態や進行度によって、効果が得られる適切な治療法は違ってきます。
抜け毛が増え始めたレベルでの治療
これまでと明らかに抜け毛の量が増えた、というレベルなら、抜け毛を止めるお薬でAGAの進行を止めることが可能です。
- フィナステリド(商品名:プロペシア)
- デュタステリド(商品名:ザガーロ)
AGAは、男性ホルモン(テストステロン)が血液といっしょに毛乳頭に入った時、酵素の働きで脱毛ホルモン「DHT」に変化することで、薄毛症状がスタートします。
この酵素には1型と2型という2種類があり、AGAは2型の酵素(5αリダクターゼ)のしわざです。
【薬の特徴】
- フィナステリドはこの2型を強く抑制します。
- デュタステリドは1型と2型の両方に効果があります。
1型に効いても、あんまり意味ないんじゃないの?
どちらがいいかはドクターと相談の上で決めることですが、一般的に、デュタステリドのほうが、効果は早く出るが、副作用の発現率はフィナステリドより高いと言われています。
1年以上、お薬を飲み続けた場合、効果に大差はないそうです。
抜け毛が増え始めたばかりのAGA初期段階では、こういった医薬品で、AGA予防が可能です。
これが、よくクリニックCMで耳にする「AGA治療、〇〇〇円から!」という、あれです。
また、一定のAGA治療を終えた方が、生えそろった毛髪をキープするためのお薬としても処方されます。
せっかく生えてきた髪が、またDHTのせいでバラバラ抜けたらイヤだものね~。
髪が細くなり、髪の量が減った気がするレベルでの治療
この段階でクリニックを訪れる方は、自分はまだ「初期」だと思っていますが、頭皮の内側ではAGAが進んでいます。
髪が細くなって髪にスカスカ感があるか、毛髪の隙間(すきま)から地肌がチラっと見える状態だと、抜け毛を止める薬のほかに、発毛を促す薬が必要となります。
【抜け毛予防薬】
- フィナステリド
- デュタステリド
【発毛促進薬】
- ミノキシジル
基本は上記の医薬品での治療となりますが、副作用が心配な方や、発毛力を向上させたい方などは、成長因子を注入するメソセラピー療法をプラスする方法があります。
発毛メソセラピー療法
発毛メソセラピーの治療名称は各クリニックで違いますが、成長因子を注入するという点において、同じです。
ただ、薬剤にふくまれる成長因子の種類(由来)や数に違いがあります。
いわゆる毛髪再生治療と呼ばれるジャンルで、成長因子のほかに、自分の幹細胞を使う方法なども出てきています。
基本のAGA治療薬に、メソセラピー療法をプラスするメリットは、治療の安定期(治療開始して約1年~1年半年後)での毛髪量が、基本治療のみの場合よりも多い、ということです。
治療効果にどれくらいの差があるのかは、クリニックで治療前後の写真を見せてもらい、判断してください。
無料カウンセリングは無料だし、メリットが大きいので、必ず活用しましょう。
ちなみに、再生治療をプラスする場合、もっとも効果的なタイミングは、治療開始からの半年間だそうです。
オールバックにしても地肌が目立ち、一目で薄毛だとわかるレベルでの治療
誰が見ても、「ああ、薄毛だ」と判断できる段階では、基本のお薬治療に再生治療を加えたほうが、安定期での状態に満足感が得られやすいのではないかと思います。
また、クリニックでも、そのようにすすめられると思います。
本気で治療を考えるなら、きちんと予算を確保して、ドクターに確実に効果が出る方法を確認して、治療メニューを決めていくのがいいでしょう。
薄毛治療は美容治療の一種です。
全額自己負担なので、お金がかかります。
理想の自分に近づくための自己投資ですね。
明らかに薄毛で、すでに地肌ツヤツヤなレベルでの治療
地肌にツヤが出ているということは、すでに毛穴が消えてしまった部分がある、ということです。
この状態にまで進行すると、AGA治療薬も成長因子を注入する発毛メソセラピー療法も有効ではありません。
発毛メソセラピーが効くのは、産毛状でもいいので、とにかく毛髪が生えていることが、絶対条件です。
AGA治療では、毛穴がなければ髪は再生しません。
では、どのような治療法があるのかというと、
かなり進行してしまったAGAに有効なのは、自毛植毛です。
自毛植毛とは、AGAの影響を受けない後頭部の髪を採取し、ハゲた部分に移植する施術のことです。
病気やケガの傷あとであっても、植毛することで毛髪を再生することが可能です。
この自毛植毛のメリットは、一度植毛してしまえば、その部分の髪はAGAの影響を受けず、採取した後頭部の髪と同じように、抜けては生えるというヘアサイクルが再生されます。
つまり、後頭部が白髪になる頃には、移植した髪も同じように白髪になっていきます。
植毛は外科手術になりますが、現在では、植毛手術の直後でも傷あとが目立たない方法があります。
手術自体は1日での日帰り手術となるので、海外から観光旅行に訪日したついでに植毛手術を受ける旅行客が非常に増えているそうです。
植毛のついでに観光して帰るのかもよ~。
クリニックによっては、交通費の一部や、1泊程度の宿泊費のサポートなども行っているので、植毛に関しては、居住地との距離に関係なく、良質のクリニックを選びやすくなっています。
いろんなサービスがあったりするので、各クリニックの公式サイトを、しっかりとチェックしてください。
自毛植毛の歴史はわりと長く、技術も確立しています。
幸いなことに、日本は高技術を有するクリニックがたくさんありますので、植毛という選択肢も視野に入れて、考えてみてください。
植毛についてはこちらの記事を参考にどうぞ
最良のクリニックを見つけるには
AGAは進行性の薄毛症状ですが、近年になって急速に薄毛研究が進み、効果的な治療薬も見つかっています。
クリニックできちんと治療をすれば、薄毛の悩みは解消できる時代となりました。
ただ、薄毛の進行度によって適切な治療と、そうでない治療方法とがあります。
最低限、治療の種類や、それぞれ、どのような効果があるのかぐらいは、自分で調べておくといいですね。
できれば、自分の薄毛の状態や、希望する治療法、そのリスク、そして予算などを考えて、もっとも効果的で、堅実な方法を選択してください。
そのためには、やはり自分を悩ませる薄毛に関する予備知識をしっかりとたくわえることです。
その上で、薄毛治療のクリニックを探すと、きっと満足いく結果を出してくれるベスト・クリニックに出合えますよ。
最良のドクターにめぐりあえるといいですね!