こんにちは、髪ふさアドバイザーの吉宮です。
薄毛の悩みから脱却しようと、薄毛専門クリニック探しを始めても、まず迷うのは治療法の多さです。
カタカナの難しそうなメニューに惑わされ、プランの多さに困惑し、
結局、何をどう選べばいいのか分からなくなります。
そこで、「薄毛(AGA)クリニックでの治療の種類と、その効果と副作用」について、大まかに取り上げてみました。
それぞれの治療方法の大体の特徴をつかめば、自分に合った治療方法がわかってくると思います。
そこから、各クリニックを比較して選べば、自分にとっての「ベスト・クリニック」を探し当てることができるんじゃないでしょうか。
では、その前に、「なぜAGAになってしまうのか」の部分から見てまいりましょう。
AGA(男性型脱毛症)ってどういう病気?
AGAというのは男性型脱毛症のことで、思春期後に体が男らしく変化することで現れる生理的な現象です。
生理現象なので、ハゲていくことは病気とは見なされておりません。
ただ、見た目に大きな影響を及ぼすために、人によっては、その後のQOL(生活の質)の低下を招くことになってしまいます。
ちょんまげ時代なら、日本人に「薄毛の悩み」なんてなかったのにね
AGAが進行して若ハゲとなる仕組みとは?
第二次性徴後に、血管の中の男性ホルモンの濃度が高まり、
それが5α-リダクターゼという酵素によってより強力な男性ホルモン「DHT」へと変化します。
変化したDHTは、毛乳頭内にある男性ホルモン受容体と結合することで、
「脱毛ホルモン」とも呼ばれる悪役となります。
このDHTというのは、男性のヒゲや体毛を濃くする反面、
なぜか頭頂部と前頭部の毛母細胞の働きを阻害するのですね。
髪を生み出す毛母細胞は分裂・増殖を繰り返すたびにDHTからの攻撃にさらされ、
髪が育つ成長期は極端に短くなっていきます。
そして、髪は十分に育たないまま休止期に入り、抜け落ちてしまうのです。
これが、髪のミニチュア化で、頭頂部の地肌が透けて見える状態となります。
この状態が進行すると、やがて完全に細胞が破壊され、髪が生みだせなくなってしまうのです。
AGAクリニックでの発毛治療の方法とは?
現在のクリニックでのAGA治療は、毛母細胞を攻撃するDHT(ジヒドロテストステロン)を、そもそも作らせないようにする方法が採られています。
血液の中にあり、体中をめぐっている男性ホルモン(テストステロン)自体には、ハゲさせる働きはありません。
ですが、毛母細胞の細胞膜に多くある5αリダクターゼという酵素と結びつくと、
途端にDHTという強力な脱毛ホルモンへと変化してしまいます。
クリニックでの発毛治療は、この5αリダクターゼを抑制する作用を持つ薬で抜け毛を防ぎ、
発毛を促す薬で発毛力を増して、薄毛を改善していくという考え方です。
AGAクリニックでの発毛治療の種類って?
まずは、AGAの発毛治療にはどのような方法があるのか、さらっと見てみましょう。
AGAの治療には、
- お薬を服用しての治療
- 毛髪再生治療(メソセラピー等)
- 植毛
現在のところ、この3種類の治療法があります。
【お薬を服用しての治療】
(抜け毛を止める薬)
- フィナステリド(プロペシア)
- デュタステリド(ザガーロ)
(発毛を促す薬)
- ミノキシジル(外用・内服)
この3種の薬を用いて治療を行います。
抜け毛を止める薬はフィナステリドかデュタステリのどちらか一方を使用します。
- フィナステリドはⅡ型5αリダクターゼを抑制します。
- デュタステリドはⅠ型・Ⅱ型5αリダクターゼの両方を抑制します。
【5αリダクターゼってなあに?】 男性ホルモン「テストステロン」を強力なDHTに変換させる酵素が5αリダクターゼです。 この5αリダクターゼには「Ⅰ型」と「Ⅱ型」の2つのタイプがあります。
Ⅰ型・・・皮脂腺に多く分布していて、後頭部と側頭部からハゲるタイプ Ⅱ型・・・毛乳頭に多く分布していて、前頭部と頭頂部からハゲるタイプ
Ⅱ型がいわゆる一般的なAGAですね。 |
デュタステリド製剤のAGA治療薬「ザガーロ」は2015年9月28日に厚生労働省から認可された新薬です。
抜け毛を止める薬の役割
ハゲる直接的な原因は、男性ホルモンDHTが毛母細胞を攻撃し、破壊することで起こります。
「脱毛ホルモン」「悪玉男性ホルモン」と呼ばれるDHTを、そもそも作らせないようにするのが、この「抜け毛を止める薬」です。
この薬で発毛することはありませんが、DHTの攻撃を受けなくなることから、髪は徐々に元どおりの毛髪サイクルを取り戻し、丈夫な髪へと成長することができるようになります。
そのことから、AGAの初期段階の方などは、ザガーロだけ、プロペシアだけという抜け毛を防ぐための単剤治療で十分な効果が得られるのです。
要するに、抜け毛を起こさせない予防治療ですね。
よく、「AGA治療〇〇千円~」というのは、このことを言っているのですね。
ちなみに、AGAが進行している方は、この単剤処方では薄毛の改善は難しいと思います。
要するに、早めに治療に踏み切ることが、最安の治療方法ってことなんですね
発毛を促す薬「ミノキシジル」の役割
ミノキシジルは、日本で唯一、発毛効果が認められた有効成分です。
このミノキシジルというのは、元々は、難治性高血圧の降圧薬(ロニテン)でした。
子どもの血圧降下剤(ロニテン)には、顔や体、手足に多毛症状が現れる副作用があり、それを逆手にとって発毛剤として開発されたのが『ロゲイン(ミノキシジル)』です。
日本では、1999年から外用薬として『リアップ(大正製薬)』が発売されています。
【リアップの特許が切れてミノキシジル解放~】
日本でミノキシジルの育毛剤というと、20年近く、大正製薬の『リアップ』しかありませんでした。
ところが、そのミノキシジルの関連特許が2010年代に入ってから順番に切れていったことから、2018年8月以降、大正製薬以外のメーカーも、同じ有効成分の育毛剤を商品化して販売することができるようになりました。
そういえば、最近、育毛剤のコマーシャルがやたら目立つようになったよね。
うん!それには、こういうワケがあったってことだよ
|
このミノキシジルには、毛髪サイクルの「成長期」を維持する効果と、
ミニチュア化してしまった成長期毛の毛包サイズを改善する効果とがあります。
また、毛乳頭に入り込んだ血管を増やす作用や、発毛促進因子(アデノシン)を作りだす作用を強めてくれます。
こういった働きによって血行が改善され、発毛が促されるというわけですね。
外用薬は薬剤師のいる薬局(ドラッグストア)で購入できますが、
それよりも高い効果を示す内服薬は、病院での処方でしか購入できません。
外見上、困ったことになる強い副作用があるので、ドクターの経過観察のもとで使用してくださいね。
AGA治療薬の副作用
これらの薄毛治療薬には副作用があります。
元々が、それぞれ別の病気の治療薬であり、
その副作用を逆手にとって薄毛治療薬として開発されたものです。
男性ホルモンに強く働きかけるものなので、
インポテンツなど、さまざまな性的副作用が少なからず報告されていることも、
きちんと知っておいてくださいね。
ちなみに、各クリニックはそういった副作用にもきちんと対処しています。
【毛髪再生治療】
薄毛改善に有効な薬剤を、塗ったり、飲んだりするのではなく、
直接、患部(薄毛部位)に注入する治療法です。
こういった治療方法を「注入治療」や「メソセラピー」と言いますが、
使用する薬剤の内容や調合率などで多種多様なメソセラピー治療法が確立されています。
現在の主流は「成長因子」を用いたメソセラピー治療です。
・HARG(ハーグ)療法
・ダブルマトリックス
・発毛メソセラピー
など、クリニックによって名称は異なります。
メソセラピー治療の大きなメリットは、副作用の心配がほとんど見られない、という点です。
そして、副作用の発現は低いものの、発毛効果は高く、即効性があるという利点が挙げられます。
また、薬剤の成分内容によって、効果の持続性(数か月~数年間程度)が期待されるものもあります。
ただし、1回ごとの治療費は、1か月分のAGAお薬代と比較して、高額です。
【自毛植毛】
植毛には「自毛植毛」と「人工毛植毛」とがありますが、
一般的に「植毛」という場合は、自毛植毛を指します。
人工毛植毛は未だに(感染症などの)課題が多いのですが、
「髪を増やすことができる」という点で、今後に期待したい技術です。
ん? じゃあ、自毛植毛では髪は増やせない・・・ってこと?
うん、増えないんだって!
自毛植毛に増毛効果はありません!
自毛植毛は、脱毛ホルモンであるDHTの影響を受けにくい後頭部(または側頭部)の髪を毛根ごと採取して、
それをハゲている部分に移し替えていく技術です。
髪を移動させるだけですので、
(人工毛植毛と違って)髪の総本数自体に変化はありません。
植毛のメリット
植毛のメリットは、毛母細胞が死滅し、髪が生えなくなり、
すでに毛穴のなくなった皮膚にも移植して発毛させることが可能、という点です。
毛穴のなくなった皮膚ってどういうの?
【毛穴のなくなった皮膚】
- (手術やケガの)傷あとが瘢痕化した部位
- 髪が生えなくなって数年経過し、ツルツルとなった頭部
こういった毛穴が消失した部分にも、
植毛手術をすることで再び髪を生やすことができます。
もう一つの、植毛を行う意義ともいえる最大のメリットは、
移植した髪は生涯、生え続ける、
ということです。
DHTの影響を受けにくい後頭部から移植した髪は、
移植後もその性質を受け継ぎ、AGAとは無関係に正常な毛髪サイクルを繰り返します。
つまり、老化で髪が失われるまで、生涯、生え続けるということですね。
進化した植毛技術と他人にバレない技術
植毛手術をためらう理由の一つに、
「植毛したってことがバレてしまう」というものがあります。
これは、移植する髪を採取する際に、その部分を大きく刈り上げなくてはならないからです。
刈り上げるのは、通常、後頭部です。
もちろん、ヘアシートなど、刈り上げ部分を隠す手段は用意されているのですが、
それでも、髪が生えそろうまでの数か月間は、年齢や職種によっては、精神的に厳しい時間となります。
一時的とはいえ、そういった外見上のデメリットが植毛をためらう大きな理由となっていました。
ところが、その問題も解決されています。
今では、そもそも後頭部を刈り上げない方法があります。
また、たとえ刈り上げたとしても、
術後直後でさえ他人の目から見ても全く気づかれない方法なども研究されて、技術的に完成されました。
植毛は日帰り手術ですので、入院する必要はありません。
日帰りで、術後でも傷が目立たないとはいえ、長時間の手術ですので、
そこはやはり数日間は安静に過ごす必要があります。
事前のスケジュール調整はきちんとやっておいたほうがいいでしょう。
術後の翌日から、デスクワークぐらいなら問題ありません
関連記事⇒「自毛植毛手術前の準備と術後ケア」
AGAの治療方法としては、このように3種類の方法が最も効率的で効果的でしょう。
AGAクリニックでの発毛治療って本当に効果があるの?
クリニックで発毛治療をするとしても、一番気になるのは、本当に効果があるのか、ということですね。
AGA治療薬であるフィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルは、
すべて臨床試験によって、その有効性がデータで証明されています。
ところが、それと同時に副作用があることも報告されて、よく知られています。
特にフィナステリドについては、
「フィナステリド症候群」の可能性も近年、報告されていますので、
AGA治療薬については、必ず、クリニックの処方で、医師の観察のもとで服用してくださいね。
今では、AGA治療で全く効果がなかった場合の保証制度も設けているクリニックもありますので、
不安であれば、そういったクリニックを選ぶといいでしょう。
効果はあるのね。
ようはお薬の量の匙加減が大切ってことなのね。
んじゃ、めそせらぴぃ~わぁ?
一方、メソセラピー治療については、再生医療の分野です。
再生医療ってなんだかワクワクするわね。
いろんな難病の治験で成功したニュースが、
ボンボン報道されてますよね。
再生医療と言えば、iPS細胞やES細胞など、
生命やQOL(生活の質)に係わる深刻な病気治療に、希望の光をもたらす分野ですが、
治験と治療が同時進行で、「どれほど効果があるのか」「どのくらい効果が持続するのか」というのは、
「はっきりしたことは、まだわからない」というのが本音です。
これから数十年を掛けて、臨床データを蓄積し「解」を導き出し、
さまざまな難病の完治を目指して、研究が進められるのでしょう。
iPS細胞を使って、全身の筋肉が衰える「筋萎縮性側索硬化症」って病気に効くお薬を発見することができたのよね。
今度また20人の患者で治験が始まるってニュースで言ってたわ。
ほかにも脊髄損傷の治療方法が見つかったニュースもありましたね。
間葉系幹細胞を培養して点滴投与したら、
二度と動かないはずの手足がわずかでも動くようになったということです。
今まで不可能だったことを可能にできる分野だね。
そのほかにも、iPS細胞を使った再生医療なら、
理化学研究所などが行った目の難病「加齢黄斑変性」や、
京都大学が保険適用を目指した治験で、
パーキンソン病の患者に移植手術を行っているよ。
どんどんだね! 病気で苦しむ人がいなくなるといいね!
―――本当に、そうね。
このように、再生医療は現在進行形で研究中の、可能性に満ち溢れる、未知の分野なのです。
きち。話がずれていっているんじゃない?
これらの研究の過程で得られて技術等を応用したのが、
アンチエイジング治療であり、毛髪再生治療です。
・・・強引に戻したわね。
自身の細胞や、成長因子を使った毛髪再生医療は、
確かに今までにない発毛効果を得られますが、決して万能ではありません。
AGAの進行度や体質によって、その効果にはどうしても個人差が現れますし、
得られた効果も、永続的なものではないことは、承知しておかねばなりません。
手遅れなの?AGAには発毛治療ができないケースもある
AGAの患者の中には、薬剤を使った治療が向かない方もあります。
例えば、AGAの進行度によっては、すでに毛母細胞を作りだす大もとである、
細胞自体の寿命が尽きている場合があります。
そんな手遅れになった状況についても知っておきたいと思います。
髪を生み出す細胞にも寿命があった
ヒト体細胞の分裂回数は決まっていて、
髪が作られる仕組みに深くかかわる線維芽細胞の分裂回数は、約50回と言われています。
この分裂回数の限界を超えた細胞を「老化細胞」と呼び、その後の機能の回復は見込めません。
AGA患者の場合、毛髪サイクルの極端な短縮によって、
本来なら100歳以上まで分裂する十分な回数を、
40代、50代で使い果たしてしまうことになります。
分裂回数チケットを使い果たすと、二度と髪は生えてきません。
薄毛を通り越して、すでにツルツルになり、それから何年も経過しているような方などは、
この細胞の分裂回数チケットを使い果たした状態でしょうから、
現在の医学では、どのような薬剤を投与しても、発毛は望めません。
つまり、AGA治療薬を飲んでも、成長因子を注射しても、発毛効果は現れないということです。
そのような方の治療方法としては、現時点では植毛が唯一の手段となります。
関連記事⇒「薄毛治療にタイムリミット!?」
AGAの発毛治療は早ければ早いほど、安く早く治る!?
AGAは放置すると、ハゲ切るまで進行していくものです。
その姿が、あなたにとって受け入れられる姿であれば問題ないのですが、
そうでないなら、抜け毛が増えたと感じた時点で、早期に治療を開始するのが、
この先の人生を薄毛の悩みに時間を取られることなく心地よく過ごす、最も早道かと思います。
地肌が透けないうちにケアしておくと、
クリニックがコマーシャルしている「AGA治療薬月〇〇〇円~」という最安値で、
抜け毛を予防することも可能です。
薄毛は「クリニックで治す」時代です。
早く薄毛の悩みから解放されて、
その分、仕事や恋愛、趣味などに全力投球して、各分野で存分に活躍してくださいね。