こんにちは、髪ふさアドバイザーの吉宮です。
かっこいい男性もそうでない方も、おしゃれな男性も、そうでない方も、どうして多くの方が、そろってあのような形にハゲていくのでしょうか。
日本人男性の4人に1人が「薄毛」「若ハゲ」に悩む時代ということですが、そのほとんどがAGAです。
今回は、独特なヘアスタイルを強いるAGAについて、どういう薄毛で原因とは何か、そして治療法はあるのかなど、くわしく探ってまいりたいと思います。
薄毛でよく聞くAGAやFAGAって、どういう意味?
男性の薄毛や若ハゲというキーワードで検索していると、すぐに「AGA」という3文字が目に入るようになります。
これは「Androgenetic Alopecia」の略称で、男性型脱毛症のことです。
・・・どこが?
確かに、
andorogenとは男性ホルモンのことで、
alopeciaは脱毛症のことです。
(遺伝的要素をふくんだ)男性ホルモンによる脱毛症という意味ですね。
「男性型」は、いったいどこに潜んでいるのかと思いますが、
実は、男性の薄毛を指す別の名称に
「male pattern hair loss(MPHL)」というものがあります。
male patternが男性型ということですね。
こちらが「一定のパターン(型)でハゲていく男性の薄毛」という意味になるのですが、そもそもの要因は男性ホルモン作用なわけです。
そこで、AGAでありつつMPHLだね、ということで、日本語では「男性型脱毛症」という折衷案っぽいネーミングになった模様です。
医療現場でも「AGA=男性型脱毛症」で通っていますし、MPHLよりもAGAのほうが馴染みがありますよね。
ちなみに、女性の場合は
「female androgenetic alopecia」といい、略称はFAGAです。
femaleは女性という意味です。
以前は、女性のAGAということで「女性男性型脱毛症」と呼ばれていました。
その後、研究が進むにつれ、女性の薄毛には男性ホルモンだけでは説明がつかない要素もふくまれていることがわかってきたために、「女性型脱毛症」と呼び方が変わりました。
つまり「female pattern hair loss(FPHL)」ということです。
ところが、女性の薄毛にはFAGA(女性のAGA)もふくまれていることから、やはり折衷案的ネーミングで「女性型脱毛症=FAGA」という認識になっているようです。
まあ、通じれば何だっていいのよね~。
要するに、
- AGA=男性型脱毛症
- FAGA=女性型脱毛症
このような認識でOKです。
男性と女性では薄毛の治療方法は違うの?
男性ホルモンが関係している薄毛なら、男性も女性も同じ治療薬で治せるのかと思いますが、そんな単純な話ではないようです。
男女の薄毛治療の大きな違いは、男性に有効なAGA治療薬が、女性には副作用の関係上、誰にでもは使えないという点です。
また、治療においては、男女で使用できる薬品範囲と、その濃度も大きく違いますので、注意が必要です。
女性には、女性の薄毛に適したお薬や、治療方法があります。
夫の飲み薬を、勝手な判断で飲んではダメですよ。
ここでは、AGA(男性型脱毛症)をメインに話を進めてまいりますので、女性の薄毛(びまん性脱毛症)や治療法については、こちらの記事をご覧ください。
関連記事⇒『女性の薄毛—脱毛の原因と治療法』
男の髪の薄さは「男らしさの」証だった!?
男性型脱毛症(AGA)は思春期以降に兆候が現れ始めます。
これは、少年の体が大人の体へと成長する過程で、男性ホルモンの血中濃度が上昇することによりAGAを発症するためです。
AGAは皮肉なことに、体が大人になるにつれ、つまり男性らしくなればなるほど、徐々に進行していく脱毛です。
頭髪は薄くなりますが、それ以外の体毛は濃く、毛深くなっていきます。
薄くなるのは、髪の毛だけなのね。
AGA(男性型脱毛症)は病気ではない!?
この薄毛(AGA)は「(男性型)脱毛症」と呼ばれていますが、特に病気というわけではありません。
体が成長するにつれて起こるごく自然なものです。
当たり前の、生理的な現象ではあるのです。
そうは言っても、髪の毛というのはとても目立つ部分です。
外見、そして人の印象を大きく左右するものですので、日常生活に及ぼす影響は非常に大きい、と言えます。
男性型脱毛症(AGA)は、血中の男性ホルモンの影響によって髪のサイクル(毛周期)が崩れ、そのことにより引き起こされる現象です。
一般的に男性ホルモンというのは、骨や筋肉をたくましく発達させるとともに、ヒゲや胸毛などの体毛を濃くする働きをします。
この男らしさを形成する働きが、こと前頭部と頭頂部に限っては、髪を軟弱化させるのです。
これを髪のミニチュア化(軟毛化)といいます。
薄毛(AGA)の実態は「髪の軟毛化(ミニチュア化)」!?
医療の中において「脱毛」というカテゴライズの中には、髪が完全に「脱落」「無毛化」していないものも含まれています。
その代表格がこの「男性型脱毛症(AGA)」です。
つまり、薄毛が進行して、地肌が丸見えになっていたとしても、AGAの方の場合は、その部分に産毛よりも細い繊毛が存在していることが多いようです。
これがAGAの特徴である髪のミニチュア化(軟毛化)と呼ばれる現象です。
なぜ髪のミニチュア化が起こるのか
髪のミニチュア化(軟毛化)には、ヘアーサイクルが大きくかかわっています。
ヘアーサイクルは、髪が生まれてから抜け落ちるまでの「髪の一生」です。
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こういう感じです。
では、髪に問題のない一般男性と、AGAを発症している男性とのヘアーサイクルを比較してみましょう。
【一般男性のヘアーサイクル】
「成長期(3~6年)」
↓
「退行期(2、3週間)」
↓
「休止期(3~4か月)」
ここで注目しておきたいのは成長期の期間です。
一般的な男性の場合の成長期は、ここでは3年としていますが、短くても2年以上はあります。
ところが、AGAの男性の場合は、このようになります。
【AGAの男性のヘアーサイクル】
「成長期(数か月)」
↓
「退行期(2、3週間)」
↓
「休止期(数か月)」
AGAの方の場合、髪が太く長く成長するはずの期間が、異様に短くなる、ということがわかっています。
成長期間は数か月としていますが、AGAが進行するにつれて、数週間~6ヶ月ぐらいにまで短縮されてしまいます。
これでは、髪が太く育つ時間がありません。
髪が育ち切らないうちに、細胞と切り離される休止期に突入するため、結局は、未熟でか細い髪のまま抜けてしまうという悪循環に陥ります。
これを繰り返す内に、産毛状から繊毛(せんもう)状となり、やがて目を凝らさなければ見えないくらいの細く透明な髪へと変化していくわけです。
このようにして、髪のミニチュア化は進んでいくわけです。
男の薄毛(AGA)で髪がミニチュア化する原因とは?
髪がミニチュア化していく原因はAGAを発症したから、ということになりますが、そもそもは、男性ホルモンがより強力な男性ホルモンDHT(ジヒドロテストステロン)に変化することで起こります。
普通、男性ホルモンは骨や筋肉の発達を促し、ヒゲや胸毛、すね毛などの体毛を濃くする方向に働きます。
この普通の男性ホルモンには、脱毛の働きはありません。
ところが、この男性ホルモン(テストステロン)が、血流にのって頭頂部に運ばれてきた時、毛細血管を通って毛乳頭に入ると、そこにある酵素(5αリダクターゼ)の働きによって、活性型男性ホルモンDHTへと変化します。
DHTに変化した男性ホルモンは、そこで待ち受けていたカギとカギ穴のような関係の男性ホルモンレセプターにピッタリとはまり、その途端に毛乳頭細胞を攻撃し、毛母細胞の機能をどんどんと弱らせていきます。
これが頭頂部と前頭部でのみ起こり、絶えず攻撃を受けて毛母細胞がうまく髪を生みだせなくなるために、軟毛化(髪のミニチュア化)が促進されます。
そのため、このDHTのことを俗に「脱毛ホルモン」などと呼んでいます。
こうしてAGAが進行していくと、毛母細胞という髪の生産工場の機能がじょじょに低下し、ヘアーサイクルの「成長期」が短くなっていきます。
成長しきれずに、細く短い不良状態のまま生産ラインから外れた毛髪は、休止期を迎えます。
そういう髪が大量に生産されるようになっていくのがAGAです。
生える毛の本数に変化はありませんが、頭頂部とおでこの生え際(前頭部)の毛髪は、そのうちほとんどが細く短い毛に置き換わってしまいます。
一般男性の毛髪は全体の9割が成長期毛ですが、
AGA男性の場合、薄毛部位の6~7割は、休止期毛へ置き換わっています。
これが「髪のミニチュア化」の実態です。
薄毛の原因「遺伝でハゲる」というのは真実?
男性の薄毛の9割を占めるという男性型脱毛症(AGA)の原因として、男性ホルモンと遺伝とよく言われますね。
残念ながら、遺伝というのも真実です。
男性ホルモンの作用については、普通の男性ホルモンであるテストステロンが、5αリダクターゼという酵素の働きによって脱毛ホルモン(DHT)へと変換されることで抜け毛が増え始める、ということは先ほど確認できました。
次は、AGAと遺伝のかかわりについて、チェックしてみます。
AGAの遺伝的背景とは?
AGAが遺伝から来るものだと聞くと、なんだかやっかいな感じがしますね。
人の体は約37兆個の細胞でつくり上げられています。
以前は60兆個といわれていたのですが、今では37兆個だそうです。
その細胞一つひとつに「核」があります。
その核の中には、染色体と呼ばれる46本の遺伝子のかたまりが収まっています。
これらが、2本一組となっていて、それが23セットあります。
この中にあらゆるデータが記録され収められ、唯一無二の「あなた」として、この世に存在しているわけです。
46本の半分はお母さまから、もう半分はお父さまから受け継いだ、壮大な生命の履歴です。
この46本(2本一組23セット)の最後、23番目がヒトの性別を決める性染色体です。
これが、女性ならば「XX」、男性ならば「XY」となります。
X染色体は母親から受け継ぎ、Y染色体は父親から受け継ぎます。
男性型脱毛症(AGA)の男性には、この性別を決定する性染色体「XY」のX染色体上に存在している、男性ホルモンレセプター遺伝子の多型が見られる、ということです。
この男性ホルモンレセプター(受容体)は、脱毛ホルモンであるDHT(ジヒドロテストステロン)とくっつきます。
普通の男性ホルモンがDHTに変化すると、このレセプターとペアになり、その後、毛乳頭や毛母細胞への破壊行為を始めます。
つまり、AGAになる人というのは、このレセプターが一般の人より多いということですね。
そういう遺伝子を受け継いでいるのです。
そしてもう一つ、常染色体(性染色体以外の44本)のうち、「17q21」や「20p11」にも関連遺伝子の存在が確認されているようです。
17番目と20番目の常染色体に、何かある、ということですね。
以上が、現在解っているAGAの遺伝上の背景となります。
男性型脱毛症(AGA)の治療薬って効くの?
現在、男性の薄毛であるAGAに有効な治療薬が見つかっています。
フィナステリドと、2015年9月に認可されたデュタステリド(商品名:ザガーロ)です。
どちらも男性ホルモンのテストステロンが5αリダクターゼと出合うのを阻害するお薬です。
5αリダクターゼと出合わなければテストステロンはDHTに変化しませんから、脱毛ホルモンは登場しないわけです。
つまり、AGAの抜け毛をストップさせることができますが、服用をやめるとまた抜け毛が始まります。
一方、ミノキシジルは発毛効果があるとされています。
これは血流をよくすることで、養分が毛乳頭へ行き渡るようになり、発毛力を促進する効果があります。
ただ、AGA治療薬としては認可されていないので、一般病院では処方されません。
ミノキシジルの発毛剤は、薬剤師のいるドラッグストアなどで購入することができますが、20歳以上でないと販売してもらえません。
あと、若年性の薄毛には効果はないようです。
AGA治療薬は「抜け毛を止める」+「発毛促進」という両輪での治療が効果的です。
発毛剤のミノキシジルだけを使用している方もいらっしゃいますが、AGAは進行性なので、抜け毛を止めないことには、あまり効果的とは言えません。
その他にも、成長因子や幹細胞を使った毛髪再生治療なども、現在はいろいろと効果的な治療方法が登場しています。
毛髪再生治療は女性に人気がありますが、AGA治療薬の副作用が心配な方や、お薬を服用できない方などには向いているかもしれません。
さまざまな治療法がありますが、まずはAGA治療を専門としているクリニックなどで、自分に合った治療方法を相談してみるといいと思います。
そのためにも、クリニック探しはじっくりと行いましょう。
まとめ
ここまで、男性の典型的な薄毛であるAGA(男性型脱毛症)のしくみについて見てまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
遺伝については、AGAの原因全体から見て4分の1程度と言われていますので、薄毛家系だからと言って、必ずしも絶対にハゲる、ということはないようです。
もちろん、何もしなければハゲていきますが、薄毛になりやすい体質を持っている、と自覚して対策すればいいのではないでしょうか。
今は、AGAはクリニックで治療できる時代です。
自分でコントロールして対策するもよし、クリニックで早期に解決するもよし、選択肢は存在しています。
薄毛に悩んで暗い気分になるなら、早めの対策で、笑顔を取り戻してくださいね。
応援しています!