
こんにちは、髪ふさアドバイザーの吉宮です。
薄毛の悩みに終止符を打つため、植毛を選んだ方が、メニュー選びで困惑するのが、オプションメニューの存在です。
植毛のオプションメニューというのは、グラフトと呼ばれる移植毛が、頭皮に植え込んだ後、きちんと生着するのを助けたり、その後の毛髪の成長をうながしたりする役割を担います。
今回は、自毛植毛のオプション治療にどういうものがあるのかをチェックしてまいりたいと思います。
植毛自体には満足している方でも、オプションについては、ぐずぐず言っている方がたまにいらっしゃいますので、これから植毛を検討している方は、ごいっしょにどうぞ。
自毛植毛のオプション治療は必要?不要?効果なし?
クリニック選びの段階で、植毛方法についてはしっかりとリサーチしていても、無料カウンセリングを受けた際にオプションメニューを示され、心が揺れ動き、あせって判断を誤るケースもあります。
判断を誤るというのは、その時かたくなに拒否して、後々になって「やっぱ、やったほうがよかったんじゃないか、あれ」と残念な思いをしてみたり―――。
逆に、その時の勢いで「あ、じゃあ、それも」とお願いして、後々になって「ほんとに必要だったか、これ?」と、モヤモヤが尾を引いたり―――ということです。
どちらにしても、心構えさえできていれば、冷静な判断のもと、自分にとってそれが必要なのか、不要なのかを決めることができます。
理想は、オプションメニューの特徴をおおまかにでも頭に入れておき、実際にクリニックに訪れた際に、どういう効果がもたらされるのか、自分の薄毛状態に、その効果はどの程度見込めるものなのか、といったことをドクターと相談した上で取捨選択することです。
また、このオプションメニューがあるのは、たいがい美容クリニック系の植毛手術においてです。

植毛一本勝負のクリニックでも、1~2個程度ならあります
なぜかというと、もともと女性の皮ふ美容、アンチエイジング、肌再生治療という、総合的な若返り術のノウハウを持っているので、自毛植毛にも、その治療効果を応用しやすいということがあります。

医療機器も持ってますしね~。
ただし、自毛植毛に絶対に必要な処置ではないため、選ぶも選ばないも、個人の自由です。

だから、オプションなんです。
「必ずしも必要なわけではないので、選ぶも、選ばないも自由ですよ」などと、ニッコリ笑って告げられると、「うっ・・・ううう」と困ってしまいますよね。
それぞれのオプションメニューがどういったものなのかは、カウンセリングの場で「これはこういった効果があって、こういうものです」と次々と説明してもらえますが、それでスックリと理解できるくらいなら、後でモヤモヤしませんよね。
しかも、全部なんらかのメリットがあるから、すすめてくるわけですし、メニューとしてセットしているわけです。
そして、特に大きなデメリットがなければ、ニッコリほほ笑むドクターを前に、つい「じゃあ、それも…」と言ってしまいがちです。
よく考えず勢いで決めたこと、というのは大概の場合、モヤモヤが残ります。
妙にモヤモヤを感じていると、それがドクターに対する信頼感をじょじょに損ないます。
やがて、何を言われても疑ってかかるようになり、とても「一生のお付き合い」「馴染みの先生」「自分のことわかってくれているドクター」という信頼度アップにはつながりません。
そんなモヤモヤを残さないためにも、植毛方法だけでなく、オプションメニューについても押さえておいた方がいいですね。
なぜ一度決めたことにモヤモヤするのか?
つい、勢いで決めてしまったオプションメニューは、あとになって「あれ、ほんとに必要だったんだろうか」「ムダ遣いしてしまったんじゃないか」と疑心暗鬼に陥ったりすることも少なくありません。
「勢いで決断をした」という以外に、そう考えてしまう要因に、オプション治療を追加した場合と、追加しなかった場合の効果の比較が自分自身に当てはめて観察できない、ということがあります。
「やったか」「やらなかったか」のどちらか一方です。
植毛を複数回に分けて計画的に施術する場合には、ある程度の比較はできますが、それも時間の経過とともに加齢による身体機能の老化という要素が加わるので、厳密な比較にはなりません。
30代の1年と、40過ぎての1年では、(細胞)老化の加速度が違います。
オプション治療を行った場合も、初めての経験であれば、それがどれだけ効果的だったかは、実感できませんし、逆もまた、同じですよね。

例えば!
2年前に植毛したから、今回の植毛ではオプションを追加したところ、前回との違いがあまり実感できなかったということもあります。
この場合、オプション治療の効果がなかったというよりも、細胞老化のマイナス分がオプション治療で±0になったということで、「前回との違いが分からない」という感覚が「効果」となり得ます。
2年分の時間の巻き戻し効果があった、ということですね。

心配しなくても、実際は、もっとはっきりと効果を実感できますよ。
オプション治療は、植毛の完成度をより高める補助的なものと考えておくといいですね。
1回勝負の植毛にチャレンジする方は、オプション治療のこういう側面も、しっかりと考えて、整理しておくと納得できると思います。
では、植毛のオプションメニューの代表的なものをいくつかチェックしていきましょう。
植毛効果を高めるオプション治療の種類と特徴
ここでは、植毛手術をサポートするためのオプション治療をいくつかピックアップしていきます。
移植毛を植え込む頭皮環境をより良い状態に整える、という意味では、美容皮膚科にあるほとんどの治療法が使えますが、そちらの分野からも、実際に植毛のオプションとして採用されている治療法を紹介してみました。
ハイポサーマソル
ハイポサーマソルというのは、採取したばかりの移植毛を劣化させないための組織培養液のことです。
採取した移植毛(毛根)は、血管から切り離されるために、無酸素・無栄養状態となり、時間が経てばたつほど細胞がダメージを蓄積していきます。
(劣化の要因)
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劣化した毛根は、植え込んでも生着できずに、やがてパラリと抜け落ちてしまいます。
これをドナーロスと言い、同じ毛穴から髪が再生することはありません。

毛根ごとなくなっちゃってるんだもんね・・・。
それを防止するための保存液が「ハイポサーマソル」です。
浸透圧やPHなどが体内環境に似せてあるので、時間経過による細胞ダメージを最小限に抑えることが可能となります。
通常、使用する生理食塩水でも90%の発毛率ということですが、ハイポサーマソルで保護することで、より細胞ダメージが減り、生着率がアップする、ということです。
別の見方をすると、生理食塩水には、細胞にとっての栄養(アミノ酸)がふくまれていませんが、組織培養液には、細胞を増やす(培養する)だけの栄養素がふくまれている、ということです。
植毛という長時間の手術の間、血管から切り離された毛根組織を保護するには、ハイポサーマソルのほうが、より適しているかもしれません。
この「ハイポサーマソル」はクリニックによってオプションの場合と、標準設定にしている場合とがあります。

ほかにも濃縮した血小板を使用しているところもありますよ。
オプションで選べるようにしてくれているか、より高い効果や安定性を追求して、すべて込み(標準設定)にしているかは、医師の考え方の違いが反映されています。
どちらが良いとも悪いとも言えません。
【ハイポサーマソル費用】
7~9万円
CRF脂肪注入
CRF(コンデンス・リッチ・ファット)脂肪注入は、お腹などのブヨッとしている、いらない部分の脂肪を吸引して、不純物を取り去り、さらに濃縮脂肪細胞(CRF)を抽出したものを顔や頭皮に注入する施術です。
脂肪の採取は、脂肪注入施術の種類によって「吸引」するものから、おへその脇などからほんのわずかな量を採取するものまで、さまざまです。

ここでは、CRF脂肪注入をピックアップしています。
濃縮された幹細胞が、コラーゲンの増加や血管の新生をうながすので、組織再生につながります。
CRFは、これまでの「脂肪注入」と違って、しこりになりにくいことから、皮ふの薄い顔などのなめらかな部分への治療も可能となっています。
植毛のオプションとしての効果は、頭皮内に脂肪注入することで、頭皮組織の活性化で、植え込んだ移植毛の生着率がアップする、というものです。
この施術は、植毛手術日の数週間前にしておくと効果的です。
同種の治療法として「自家脂肪幹細胞注入」「ケラステム毛髪再生治療」などがあります。
【CRF脂肪注入の治療費用】
30万~100万円
※薄毛の範囲による
ボトックス注射
ボトックス注射はシワ取り治療として定評がありますね。
ボツリヌス毒素から抽出した成分を注入する治療で、筋肉の働きを抑制する作用があります。
表情筋が緊張するとできてしまう目じりや眉間などのシワですが、定着してしまった表情ジワは、筋肉の緊張をわずかにほどくことで解決し、若々しいピンとはった美肌がよみがえります。
それを可能とするのが、このボツリヌストキシン(ボトックス)注入です。
シワ改善以外にも、腋の多汗、ふくらはぎ、口元など、筋肉が関係する部位の悩み改善に適しています。
このボトックス注射は、頭皮に注入することで血流が促進され、薄毛改善にも役立ちます。
植毛のオプションとしては、手術の1週間ぐらい前に行うことで、頭皮が柔らかさを取り戻し、移植手術が順調にはかどります。
頭皮環境が改善されているので、移植毛の生着率アップ効果が期待できる、というものです。
【ボトックス注射の治療費用】
4万円~/1本
※薬剤の種類、注入範囲によります
自家幹細胞懸濁液(けんだくえき)注入治療

ちょっと漢字だらけね。
これは、火傷の傷あとの治療に使用される方法だそうです。
皮ふの真皮部分(細胞外マトリックス=ECM)といっしょに線維芽細胞や脂肪由来幹細胞などを粉砕して、薄毛の頭皮部分へと注入する治療法です。
懸濁(けんだく)液というのは、粉砕した細胞が均質に混ざり合っている液体のことです。
これによって、たとえば瘢痕化した皮ふにおいても組織再生がうながされる、というものです。
「自家真皮粉砕植皮」として注目されています。

自家というのは、自分自身の、ということです。
植毛のオプションとしては、活性化した成長因子の作用で生着率を助け、発毛促進と、ヘアーサイクルの正常化をうながします。
同種の治療法に「ダブルマトリックス」などがあります。
【自家幹細胞懸濁液注入の治療費用】
約20万円~30万円

こんなところかな?
本当は、まだまだ気になる治療法がありますが、美肌アンチエイジングのサイトではないので、この辺りで止めておきます。
また、植毛に「オプション治療についてですが・・・」と説明されるのも、今、ご紹介した治療ぐらいではないでしょうか。

PRPはいいの・・・?
もしかすると、PRP療法が出てくるかもしれませんが、これも自分の血液を採取し、遠心分離機にかけて濃縮したもの(多血小板血漿)を使用します。
細胞から分泌されるサイトカインや成長因子が豊富にふくまれているので、これらが有効成分として作用します。
植毛のオプションとしては、ハイポサーマソルのように、採取した移植毛の保存のためや、植毛の生着を良くしたり、術後の傷の治りを高めたりする目的で使用されます。
このように、現在は再生医療がいろいろな方面に活用されています。
自分が選んだクリニックの、それぞれのドクターが、その植毛手術に最適だと思われる治療法をセットしていると思うので、初めて聞く治療方法であっても、恥ずかしく思う必要はありません。
「それ、どういうものですか?」と聞いてみましょう。
私たちは医療に関しては、素人(しろうと)です。
ドクターは、素人でも理解できるような言葉を選んで、きちんと説明してくれると思いますよ。

わからないことは、どんどん質問しましょう。
ただ一つ守るとすれば、
理解不明なまま、「じゃあ、それも」と言ってしまわないことですね。
まとめ
植毛のオプション治療の代表的なものをいくつかピックアップしてみましたが、いかがでしたでしょうか。
治療名は、クリニックによって違っていたりしますが、内容は同じだったりもします。
また、以前の治療法にあったデメリットを改善したものが、別名で登場していたりもします。
それぞれの治療の特徴を、なんとなく把握(はあく)しておくと、カウンセリングでオプション治療の説明に入った時に困惑することなく、自分から質問をくり出すこともできますね。
そして、ドクターからの説明をよく理解した上での決断に、後悔することもないでしょうし、モヤモヤを残すこともないと思います。
そういったこともふくめて、充実したカウンセリングを受けて来てください。
そして、担当ドクターとの相性をはかりつつ、最良のクリニックを見つけてくださいね。