こんにちは、髪ふさアドバイザーの吉宮です。
今回は、植毛手術後に髪が抜け落ちる現象についてです。
前回の「ショックロス」に続いての後半として、
植毛後の「一時的脱落」について、詳しく見てまいりたいと思います。
後編「一時的脱落」
植毛したら髪が抜けた!?移植後の「通過儀礼」って逃れられないっ?
植毛手術後の「髪が抜け落ちる」現象には「ショックロス」のほかにも「一時的脱落」というものがあります。
ショックロスは体質による個人差があるものの、それに対して「一時的脱落」は、すべての方に起こる脱毛現象です。
でも、大丈夫。
怖気づくことはありません。
この現象は、植毛の失敗でもなく、不思議な現象というわけでもありません。
知って対処すれば、問題なく乗り越えることができるのです。
では、「一時的脱落」とは、どういったものなのか、見てまいりましょう。
一時的脱落ってナニ!?
植毛手術を終えた後、およそ1か月~3か月の間に、移植した髪が短い状態のまま抜け落ちます。
(短いのは、採取時に3ミリ程度の長さにカットしているため)
少し成長した(伸びた)だけで、せっかく移植した髪がパラパラと抜け落ちるのを見ると、
血も凍りつくほどの恐怖を味わうことになりますが、
実際に植毛手術を受けた方というのは、
この点に関して、きっちりしっかりと説明を受けているので、
特に不安になることもないのです。
まあ、外見的な問題では苦笑いが出るでしょうけれど、
それも長い人生から見ると、つかの間のことです。
では、なぜ、せっかく移植した髪が抜け落ちてしまうのでしょうか。
移植した髪がパラリと落ちるワケ
移植した髪というのは、男性ホルモン(DHT)の攻撃影響を受けない、
後頭部か側頭部から採取した髪です。
これまで安全圏の後頭部で、健全に毛周期をきざみ、
その中で髪が生まれます。
成長期→退行期→休止期という流れをたどっていた髪を、
周囲の組織(髪の生産工場)ごとくりぬいて、
無毛地帯に移植するわけです。
そうして移植された髪は、新たな場所に根付こうとします。
うまく細胞が根付く(生着する)ことで、新たな髪の赤ちゃんが生まれます。
髪の赤ちゃんが生まれると、
その上にある移植された髪は、強制的に「休止期」入りとなってしまいます。
休止期毛というのは、成長を終えて、
後は抜けるのを待つばかりの髪、ということです。
濡れた髪をドライヤーで乾かした際に、勝手に抜け落ちる髪が、その休止期毛にあたります。
髪の赤ちゃんが、新天地ですくすくと育つと、
「休止期」に入った移植毛は、下からグイグイ押し出されて、
やがてパラリと脱落するのです。
それが、だいたい植毛後1か月~3か月の間に起こります。
そして、古い(移植毛)髪を押し出した後、
元気に伸び盛りの新生髪が顔を出す、ということですね。
その後は、通常の毛周期を繰り返していくことになります。
一時的脱落って・・・移植した髪、ぜんぶ一気に抜けるの?
移植した髪が「一時的に抜け落ちる」という、この現象は、
すべての髪がいっせいに脱落するわけではありません。
通常は時間差があり、まだらに抜けるケースが多いようです。
とは言っても、こればかりは一人ひとりの体質や状態によって違ってきます。
人によっては、9割近く抜け落ちる方もいれば、
かなり長い間、移植した髪を維持できる人もあるようです。
とにかく個人差がある、ということだね。
いずれにしても、「一時的」に抜け落ちるのであって、
その後に新生「DHTに負けない強い髪」が生えてきます。
そう考えると、「早く抜けないかな~」なんて、思わないかい?
思いませんよ~・・・
とにかく、抜けた髪の毛穴の奥には、髪の赤ちゃんが生まれているのです。
お目見えするのを、心待ちになさってくださいね。
植毛したら髪が抜けた!一時的脱落している間の対処法とは?
一時的脱落の対処法としては、
「ふりかけ」と呼ばれている増毛パウダーが手軽で、
かなりいい仕事をしてくれるかと思います。
「ふりかけ」とは、髪色のパウダーが静電気と皮脂によって、
頭皮と髪の1本1本に付着することで、
一見、毛密度が増したように演出してくれるものです。
今では、男女兼用のかなり高品質なものも販売されていますので、
以前と比べて使用感もかなり改善されたようです。
ちなみに、男女兼用のものは、増毛パウダーではなく、
「ヘアファンデーション」と呼んでくださいね。
昔ながらの「ふりかけ」タイプは、ドラッグストアでも購入できますが、
使い勝手の良さなどから、パフとボトル一体型のものがおすすめです。
また、増毛パウダーを選ぶ際には、
色味や定着性、落としやすさ、などをチェックして選びましょう。
色味が自毛の色と違っていると、
何も知らない人から見ると、いかにも「何かを塗っている」ような違和感があり、
自然光の下では、かえって悪目立ちします。
定着性については、言わずもがな、ですよ。
もしも動いているうちに、白いシャツや肩に黒いものが飛び散っていては、いろいろと台無しですよね。
なので、パウダーの場合、必ず定着スプレーを使用してください。
定着スプレーをすることで、パウダーを固着させ、水と汗に強くなります。
パウダーとスプレーが一緒になった増毛スプレーなどもありますが、仕上がりの点で、やや劣ります。
また、皮膚に直接つけるものですから、化粧品と同様、成分に安全性を求めてください。
髪に気を遣っている方なら、髪にやさしい成分のシャンプーを使っていることかと思いますが、
その普段のシャンプーでかんたんに落とせるものがよいでしょう。
こうした対処法もクリニックでいろいろと教えてもらえます。
便利なアイテムをうまく活用して、ストレスなく、髪が整うまでの中間期を過ごしたいものですね。
増毛パウダー、ヘアファンデーションについては、こちらの記事をご覧ください。
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植毛したら髪が抜けた!「まとめ」っぽいの
植毛後、一時的に髪が抜ける現象には、
「ショックロス」と「一時的脱落」があり、
どちらも術後1か月~3か月の間に起こります。
ショックロスは起こらない人も多いですが、
「一時的脱落」に関しては、大なり小なり、誰にでも起きます。
どちらも、抜けた後、数か月で髪が再生されますので、慌てることはありません。
なにより「一時的脱落」というのは、
毛周期にのっとった髪の再生の一過程に過ぎない、ということです。
つまり―――、
移植した毛根の細胞が生着したタイミングで、いったん、毛周期が初期化(リセット)されます。
そこに、新しい髪が生まれます。
その時点で、移植した髪は、たとえ成長期にあったとしても強制的に休止期に移行し、
やがて新しい髪の成長とともに、押し出されて抜け落ちるのです。
また、新しく生まれた髪は、場所を移されたとしても後頭部での性質を保持しています。
ですので、男性型脱毛症(AGA)の要因でもあるDHTの影響を受けにくく、
また髪がミニチュア化することもなく、抜けにくい元気な強い髪が育つということですね。
後頭部の髪が白髪になる時には、移植した髪もまた、同じように白髪となっていきます。
自然な感じ、って素晴らしいですね。