きちみや

こんにちは、髪ふさアドバイザーの吉宮です。

 

植毛施術の後では、個人差はあるものの一時的に髪が抜けることはあります。

 

ただ、これは最初からわかっていることで、先生からも「心配いらないよ」と、きちんと説明されます。

 

ところが、せっかく植毛した髪が抜け落ち、髪の量まで減ってしまう危険なに抜け毛があります。

 

それが「定着しなかった髪」です。

 

つまり、せっかく植毛しても細胞がうまく根を張れず、そのままダメになってしまった髪のことです。

 

今回は、この「定着しなかった髪」についてチェックしていきたいと思います。

植毛して髪が抜け落ちる?植毛と生着率の関係とは?

 

移植するグラフトを薄毛部分に植毛してしばらくすると、毛根と血管とがつながります。

 

うまくつながると、血管から栄養をもらって発毛機能が動き始め、そこから新たな髪が生えます。

 

この血管と毛根(細胞組織)とがうまくつながった状態を「定着(生着)する」といい、植毛の成功です。

 

植毛クリニックがよく「生着率は〇〇%以上」と記しているのは、このことを指しています。

 

逆に血管とうまくつながらず定着しなかったグラフトは、しばらくすると枯れてホロリと抜け落ち、ジ・エンド。

 

その毛穴からは二度と髪は生えてはきません。

 

サチコ

毛根ごとなくなってしまってるから・・・どうしようもないんですね

 

一時的どころか永久的脱落で、これでは植毛した意味がありません・・・というか髪が減った分、大きな損失です。

 

こうしてみるとクリニックが言う「生着率〇〇%以上」というのも、重要な意味がこめられているようです。

 

今はどこのクリニックも「生着率をいかに上げるか」ということに、多大な努力と研究を重ねていますよ。

植毛で定着しなくなる原因とは?

 

植毛した時に、うまく定着したり、しなかったりということはなぜ起こるのでしょうか?

 

要因の一つは、植毛医や施術スタッフの経験が浅かったり練度が低いなどで、こればかりはクリニックを選ぶ時点で失敗しているケースです。

 

それ以外では、植毛法による定着率への影響があります。

 

主な植毛法としてはメスを使うFUT法とメスを使わないFUE法とがありますが、グラフトを傷つけやすいのは、FUE法のほうです。

 

FUE法は頭皮の下のグラフト(毛根組織)を目測でくり抜くため、どうしても傷つくグラフトが出てしまい、これが定着率を下げる原因となります。

 

一方、メスを使って皮膚ごとグラフトを採取するFUT法では、毛根付きの皮膚ごとメスで切り取りますので、この採取時点でグラフトが傷つくことはほとんどありません。

 

FUE法では、採取時にグラフトが傷つく割合は約20%だと言われています。

 

サチコ

優秀なクリニックでは、この「約20%」を、徹底的に「0%」に近づけるための努力をされています。

植毛失敗の原因|グラフトの損傷はいつ起こる?

 

植毛施術をしている中で、どういう場面でグラフトが損傷し、その後の定着に影響が出てしまうのでしょうか。

 

グラフトが使い物にならなくなるのは、主に次の4つのタイミングです。

 

  • グラフト採取時
  • 株分けの時
  • トリミングの時
  • グラフトの保存時(劣化)

 

植毛法によっても、グラフトが傷つきやすくなる場面は違うようです。

グラフトを採取した時に傷つける

 

後頭部から植毛するグラフトを採取する場面ですが、植毛法によってもグラフトの損傷率は異なります。

 

サチコ

ちなみに、グラフトが傷つき生着しないことを「ドナーロス」といいます

FUE法の場合(メスを使わない)

 

メスを使わないFUE法では、グラフト採取には細いストロー状の針(パンチ)を使用します。

 

このパンチを頭皮に挿入し毛包組織(グラフト)をくり抜く時が、グラフトを傷つけてしまいやすい場面です。

 

わかりやすい理由としては、頭皮の下の毛根の形や向きなど、目で確認することができないためです。

 

生えている髪の向きなどから判断して角度調整しつつパンチを挿入しても、弾力のある皮膚にプツッと力が加わった瞬間、内部の状態も微妙に動きます。

 

すると、パンチのストロー状の刃がグラフトの途中部分をうっかり傷つけてしまう可能性も高くなるわけです。

 

サチコ

これについては、現在では、吸引圧を利用する方法によって、損傷率が大幅に改善されています。

 

同じFUE法でも、植毛ロボットARTAS(アルタス)を使った場合は、この部分をコンピュータ制御されたロボットが行うため、グラフトが傷つく割合は非常に低い、とのことです。

切るFUT法の場合

 

一方、メスを使うFUT法では、グラフト採取時にドナーロスが起こる心配はほとんどありません。

 

理由は、頭皮の一部を毛根がくっついたまま、まるごとメスで切り取るためです。

 

ただし、この毛根を一つひとつ分離する作業「株分け」の時に、傷つけてしまう可能性は高まります。

「株分け」によるロス

 

サチコ

株とは、グラフトのことです

 

メスを使わないFUE法では、最初からグラフト単位で採取しているので、株分けは行いません。

 

メスを使うFUT法では、切り取った頭皮にくっついている毛根を一つひとつグラフト単位に切り離していく「株分け」を行います。

 

非常に細かい作業なので、この時にうっかり切ってしまったり、手間取って鮮度が落ちてしまうなど、いくつかの理由でグラフトが使い物にならなくなることが、可能性としてあります。

「トリミング」によるロス

 

メスを使って切るFUT法では、株分けが終わった後に「トリミング」という作業があります。

 

株分けしただけのグラフトは不要なものが付着しているので、それをさらにきれいにすることで植毛に最適な状態にします。

 

このトリミング時にもグラフトが劣化したり、傷つく可能性があります。

 

なお、パンチを使って採取するFUE法では、採取した時点ですでに植毛するのに適した状態なので、基本的にトリミングはありません。

 

サチコ

先生によると、ものによっては表皮などの付着した汚れを取ることはある、とのことです。

グラフトの劣化

 

グラフトを採取してから植毛するまでの時間も、グラフトの生着率に関係してきます。

 

植毛施術の時間は長時間になるので、採取されたグラフトは鮮度を保持するため、植毛されるまでの間、保存液に浸されて保管されます。

 

ところが、少しでも傷ついてしまったグラフトは、たちまち弱って劣化していくので、生着の可能性は刻一刻と下がってしまいます。

 

ただ、グラフトは少し傷ついたからといって全てが無駄になるわけではなく、うまく生着する可能性も残っているそうですよ。

 

また、施術後の患者本人のケアによっても、その後の髪の状態や生育に多少なりとも影響があるそうなので、術後の注意事項はしっかりと守るようにしてください。

 

植毛の成功は生着率の高さで決まる!?

 

どこのクリニックも生着率の高さをアピールされています。

 

生着率が限りなく100%に近づく、ということは、それだけ失う髪が少なくてすむ、ということなのです。

 

なぜ、これほど生着率を唱えるのかというと、植毛で髪は増えないからです。

 

植毛は、髪を移動するだけで、総本数が増えるわけではありません。

 

10万本の髪が生えていれば、どこへ移動させようと髪の本数は10万本のままです。

 

サチコ

これが生着率でいうと100%の状態ですね。

現実には100%は難しいですが。

 

それが植毛施術の最中に採取したグラフトが傷つき、定着しなかった場合、その分だけ髪が永遠に失われてしまうということです。

 

しかも、AGAの影響を受けない「抜ける予定のない髪」が、です。

 

 

クリニックも神経をとがらせるわけです。

 

そういうことで、植毛を考えたときには、治療価格よりもまず、技術の確かな信頼のおけるクリニックを探してください。

 

サチコ

価格のことは、クリニック候補を決めてから、悩めばいいと思います。

 

一生ものの髪(毛根)を失っては、元も子もありませんからね。

まとめ

 

生着率というのは、植毛施術を受けるにあたって、とても重要な数値です。

 

そしてそれは先生の技術に大きく左右される、ということを覚えておきたいですね。

 

グラフトが傷つきにくいと言われるFUT法であっても、株分け・トリミングの段階でダメにしてしまう可能性があります。

 

一方、採取時にグラフトを大いに傷つける(20%程度)と言われるFUE法でも、先生の異様な技術力と、進化した医療器具を駆使して猛然とカバーしきっています。

 

また、FUE法の難点をカバーする植毛ロボットですが、トリミングの必要性によっては、多少グラフトにダメージを与える可能性はあります。

 

なので、これも、やはり先生と助手の高い技術力とチームワークが試されるところです。

 

もう一つ、生着率というものについて、皮肉な意見を述べさせていただきます。

 

植毛クリニックが公表している数値は、測定条件によって、上げたり下げたりできる、ということです。

 

サチコ

数字はコントロールしようと思えばできる、ってことですね。

 

例えば、ある商品に対してアンケート調査を行うとしても、その商品に対しての好感度の高いグループと、低いグループとでは、得られる評価は違います。

 

これを任意で調整すれば、当然、望む結果(数字)へと誘導することが可能になります。

 

ですので、この生着率については「確かな技術力をもって顧客満足度は高いです」というPR文だな、と思うぐらいがちょうどいいでしょう。

 

それを確かめる術(すべ)は、われわれにはないのですからね。

 

そういった不確かな装飾よりも、ごまかすことのできない先生の経歴、経験年数、(先生本人の)症例数などの実績を目安にクリニックを絞っていく方が、ずっと確かだと思います。

 

また治療費に関しては、高水準の植毛施術となると、クリニック間にそこまで大きな差はないことも、お伝えしておきます。