こんにちは、髪ふさアドバイザーの吉宮です。
薄毛(AGA)の原因というと、すぐに思い浮かぶのは、男性ホルモンと遺伝です。
男性ホルモンに関しては、良い治療薬も登場していますが、遺伝に対しては、どうすればいいのか困ってしまいますよね。
AGAの進行を止めるために治療する気になっていても、「遺伝だからね」と言われてしまうと、超えられない壁を感じて、打ちひしがれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、そんな遺伝的要素が、薄毛の発現にどの程度かかわってくるのか、また克服可能なのかについて、見てまいりたいと思います。
薄毛は遺伝というが、絶対ハゲるわけでもないって本当?
薄毛は遺伝する、と昔からよく言われています。
実際に、世間の親子を見渡すと、ハゲている父親の息子は、年齢を重ねるにつれ、同じようにハゲていくケースが多々見られます。
それに対して周囲の女性たちは、なんとなく「やっぱり、親子なのね。そっくりだわぁ」と感慨深げに納得するわけですが・・・。
実は、父親がハゲているから息子もハゲて当然、というのは違うのです。
薄毛の遺伝は母方からのギフト!?
ここで採り上げる薄毛はAGAのことで、額の生え際や頭頂部辺りから、徐々に毛髪が細く短くなり、地肌が透けていくタイプのことです。
このような感じですね。
さて、父親がハゲているから息子もハゲるのは当然、ということの何が「違う」のかと言うと、
このAGA(男性型脱毛症)の薄毛は父親からの遺伝ではなく、母方からの遺伝によるところが大きい、ということが近年の研究で分かってきました。
もちろん、父親の遺伝がまったく無関係ということではありませんが、そのほとんどは母方から受け継いだ遺伝情報です。
では、なぜ女性である母親はハゲないのかというと、女性は50代ぐらいまでは、髪の成長をうながす働きを持つ女性ホルモンのエストロゲンに守られているからです。
そういう理由で、女性は薄毛遺伝子を持っていても、高齢になるまでハゲにくいことがあります。
母親だって実はひそかにハゲている!?
女性はハゲないとはいえ、閉経後しばらくすると、女性ホルモンの分泌量はほぼゼロに近づきますので、その後、生活習慣の見直しや、それなりのケアをしなければ、ゆっくりと薄毛になっていきます。
女性の薄毛は、びまん性脱毛症と呼ばれ、女性ホルモンの減少で男性ホルモンが優位になることが、原因の一つとされています。
ただ女性の場合は、男性のように、決まったパターンに薄毛が進行することはなく、完全にツルツルの無毛状態になることもありません。
そのため、40代、50代の母親の頭頂部を眺めても、そこに遺伝の発現を見つけることは難しそうです。
それでも女性本人は、徐々に「髪が細くなった」とか、「ボリューム感が減った」という、何らかの変化は感じているはずですが、それは当人にしかわからない美容に関する悩みです。
そこで、観察ターゲットは母方の祖父ということになります。
薄毛の遺伝は単なる体質?ハゲない選択肢もあり
母方の祖父など、血のつながりのある男性陣に薄毛やハゲた方が多かったとして、将来、絶対にハゲてしまうのでしょうか。
実は、そうでもないのです。
現に、母方の祖父がハゲていたのに、孫は50代になっても特にハゲてない、という方は多数いらっしゃいますし、その逆もまた、しかり。
要するに、薄毛は「体質」というぐらいに、とらえればいいのではないでしょうか。
薄毛の遺伝は体質という考え方とは?
薄毛になる遺伝は体質だよ、と言われても深刻な悩みとして日々対策を講じている方にとっては、内心「ふざけたこと言うな!」とにらみたくなりますよね。
ところが、この考え方は、間違ってもいないのです。
薄毛と同じような「体の悩み」には「太っている」というものがあります。
世の中には「太る体質」の方は大勢いらっしゃいます。
太ることを気にするのは、男性よりも女性のほうが圧倒的に多いですよね。
だからこそ、女の子は甘いお菓子類を前に、「わたし、油断してると、すぐ太っちゃうから」と、呪文のように唱えて、自分を戒(いまし)めているのです。
太る体質の方というのは、自分で「太る体質」だと自覚しているから、いろいろと対策を講じるのですね。
例えば、週末のケーキバイキングのお誘いを涙をこらえて断るし、大好きなチョコレートも70%や80%に変えたりします。
その他にもスポーツジムに通ったり、ジョギングしたりと、続かないなりに、いろいろと努力しているからこそ、なんとか体形をキープできているという内情があります。
薄毛の遺伝も、実はこれと同じことなのです。
つまり、薄毛の遺伝的要素は確かに受け継いではいるけれど、それは単に「ハゲやすい」体質に過ぎず、努力次第で、ハゲずに一生を終えることができる可能性も高いのです。
太る体質の方が、その体質をコントロールして、いつまでもシェイプアップされた状態を維持しているように、ハゲやすい体質の方であっても、いつまでも髪がフサフサのままで過ごすことは可能です。
若いころからの精悍さを維持したまま、かっこいい「おじさま」、ステキな「おじいさま」になれるんだ、ということですね。
遺伝に負けない「ハゲない」コントロール力とは?
太りやすい体質だけど「太らない」、薄毛になりやすい体質だけど「ハゲてない」という、受け継いだ体質(遺伝)を発現させないことを「エピジェネティックス」と言います。
エピジェネティクスってなんだ?
このエピジェネティクスを日本語で言うと「後天的遺伝子制御変化」です。
遺伝子で決まってたことを後になって変化させるよ、ということです。
エピジェネティクスとは?
DNAの配列変化によらない遺伝子発現を、コントロール(制御)し、それを伝達するシステムのことです。 また、その学術分野のこと。 |
細胞分裂を通じて、娘細胞に受け継がれるという遺伝的な特徴を持っていますが、突然変異とは別です。
食事や喫煙、大気汚染、ストレスの度合いなどによって変化していくものとされています。
つまり、このエピジェネティクスというのは、持って生まれた遺伝子と、その後の環境要因とのパイプ(かけ橋)役になるシステムということでしょうか。
ということは、ハゲる遺伝子を持って生まれたとしても、生活習慣、食習慣によっては、その遺伝子を抑え込むこともできるということです。
では、どうすれば薄毛遺伝子をストップさせられるのでしょうか。
これだけは気をつけたい!ハゲないための5つの生活習慣とは?
ハゲる遺伝子を受け継いでいるということは、すでに「ハゲます、全力で!」というスイッチがON状態ということなのですが、そのスイッチをOFFにするためには、どうすればいいのでしょうか。
エピジェネティクスは環境要因で変わる、ということでした。
要するに、毛髪の育成をじゃまする要因を積極的に省くといいということです。
【ストレス】
AGAの原因の一つと言われています。
過度なストレスは、自律神経に大きな支障を与え、体内の血流に影響します。
リラックス神経である副交感神経の働きが低下すると、頭皮にまで十分な血流がまわらなくなり、栄養不足となって毛母細胞の働きが低下します。
ストレスを与えたマウスの実験では、成長期毛がしばらくすると休止期毛へと移行してしまうということが起こりました。
つまり、ストレスを受け続けていると、抜け毛が増える、ということです。
人によって何がストレスに感じるかは違いますが、できるだけ自分だけの時間をつくってみたり、ホッとする時間を持ってみたり、時々「がんばり過ぎてないかな?」と自分自身を見つめてみてください。
【食生活のかたより・乱れ】
人間の体は食べた物によってつくられ、維持されています。
つまり、食事内容の質がそのまま毛髪に変化していると思ってもいいくらいです。
過度なダイエットや、偏食は肌も髪も貧困状態にしてしまいます。
つややかで太く健康な髪とは、バランスの取れた食事によって生み出されるということです。
【ポイント】
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豆腐や納豆など、大豆タンパクはできるだけこまめに摂ると、発毛に良い影響をもたらしてくれますよ。
そのほか、脱毛ホルモンDHTをつくらせないためにも、5αリダクターゼを抑制する食材もよく食べるように心がけるといいですね。
納豆、卵、牛肉、レバー、うなぎ、ゴマ、玄米、牡蠣(カキ)・・・
炭水化物である白米やパン、麺類を食べる前に、まず野菜から食べるようにしておくと、血糖値の急上昇を抑えて、これも結果として薄毛予防になります。
【睡眠不足】
毛髪の健やかな成長をうながす成長ホルモンは夜の10時~深夜2時の間に活発に分泌されます。
これは髪だけでなくお肌にも言えることで、12時前に眠る日が数日続くと、お肌の状態が驚くほど改善されます。
それぐらい変化を感じさせる睡眠マジックです。
この時間帯の睡眠が達成できていない日が続くと、毛髪の成長がうまくいかず、やがてヘアサイクルの乱れにつながり、抜け毛が増えてしまいます。
【タバコの喫煙】
血流を阻害します。
また、タバコを吸う人は吸わない人に比べて、DHT(ジヒドロテストステロン)が10%ほど増加してしまうそうです。
【運動不足】
適度な運動は、健康のためにも必要ですよね。
身体的に良好な状態をキープできるということはいいことなのですが、男性はついつい筋トレ系に熱中してしまいがちです。
理想の筋肉づくりと頭髪にいい運動は、ちょっと違います。
バーベルで「ふんぬっ!」と周囲の賞賛を浴びるのではなく、軽い筋トレを継続し、筋肉量を維持することに努めてください。
筋トレのしすぎは、かえって活性酸素が増加してしまい、抜け毛を増やしてしまいます。
難しいかもしれませんが、「テキトー」がベストなのです。
それに加えて、5αリダクターゼを抑制する食事を心がけると、なお良いですよ。
(納豆、卵、牛肉、うなぎ、ゴマ、玄米、牡蠣(カキ)など)
【薄毛対策におすすめエクササイズ!】
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以上の、ストレス、食事、禁煙、運動、睡眠の5つを、とりあえず意識してみることから、薄毛の遺伝制御が始まります。
ちょっと気に掛けるだけで、ずいぶんと違ってくると思うので、トライしてみてくださいね。
まとめ
薄毛には、確かに遺伝的要素がありますが、必ずしも「絶対ハゲる」わけではなかったんですね。
もちろん、放置していればハゲゆくままになりますが、これまで「ハゲてたまるか」と努力を重ねてきた方なら、その方向性をきちっと定めれば、家系的な薄毛の継承を断ち切ることも可能です。
少し勇気づけられませんか?
AGA治療薬に頼り切るのではなく、生活習慣や環境の見直しで、どうかエピジェネティクスを作動させてください。
あなたの薄毛遺伝子は、ここでOFFにしておきましょう。