
植毛の定着率UPは
術後の過ごし方しだい!?

こんにちは、髪ふさアドバイザーの吉宮です。
植毛は、施術を終えたから「もう、安心」というわけではありません。
その後の過ごし方によっては、植毛の定着率に影響を及ぼすこともあります。
特に大事なのが、植毛後の1週間の過ごし方。
この1週間が、移植した髪(の細胞)がしっかり根付くかどうかの重要な期間となります。
なんてことのない日頃の習慣が、移植した髪へのダメージになってしまうかもしれません。
せっかく植毛した髪が、ホロッと毛根ごと抜け落ちてしまわないよう、ここは十分に気を遣いたい場面です。
今回は、少しでも生着率を高めるため、植毛後の運動や過ごし方についてチェックしていきます。
これから植毛を考えている方は、心の準備として、ご覧ください。
植毛手術後の入浴はやめたほうがいい?
植毛施術当日の入浴は、やめておきましょう。
入浴による体温の急な変化で、傷口から出血することもあります。
翌日の午後からはお風呂に入っても問題ありません。
湯船につかってもかまいませんが、1週間ぐらいは42度以上の熱い湯や、長湯、またサウナに入ることは控えましょう。
翌日のお風呂も、できれば湯船につかるのではなく、シャワーですませるほうがいいと思います。
夏場でどうしても気持ち悪いとき
じめじめと湿度が高く、汗をかきやすい季節には、寝る前にさっぱりしたいですよね。
そんな時は、お風呂の湯船につかるのではなく、シャワーを使ってください。
ぬるま湯設定のシャワーで汗を流すくらいなら問題ありません。
もしくは、しぼったタオルで体をふくだけでも、意外と気持ちいいですよ。

病院で看護師さんにしてもらう
清拭(せいしき)ですね。
- しぼったタオルで体を拭いてサッパリする
- 首から下を、ぬるま湯のシャワーで簡単に洗う
- 翌日の午後からは、湯船につかってもOK
植毛後のシャンプーはいつからOK?
洗髪は、傷口を清潔に保つためにも大切なことですが、施術当日は髪を洗わないでください。
髪は、植毛した翌日から洗うことができます。
ただし、シャンプーを使うと、しっかりと洗い流す必要があるので、傷口をこすってしまう可能性があります。
余計な刺激を与えないためにも、できれば3日間は、軽くぬるま湯ですすぐだけにしておいたほうがいいようです。
シャンプーを使う場合も、少量を泡立て髪になじませ、直接、頭皮をこすらないように洗い流してしまいましょう。
逆にそれ以降は、シャンプーを使って頭皮を清潔に保つことが、感染予防となります。
1週間後には、通常の洗髪方法に戻してかまいませんが、ゴシゴシこするのは、これを機にやめましょう。

ゴシゴシこするのは、頭皮に摩擦傷をつけるので、よくありません。
- 術後、3日間はぬるま湯ですすぐだけでOK
- 術後、4日目以降は少量のシャンプーで洗う
- 術後、1週間目以降は通常のケアでOK
【手術の翌日からシャンプーを使う場合】
植毛手術の翌日からシャンプーを使う場合には、注意点があります。
お湯で薄めたシャンプー液を流しかけるだけにするか、もしくは泡立てたシャンプーを手のひらにのせ、泡をクッションにそっとプッシュする程度で十分です。

シャンプー液を泡立てネットでクシュクシュすると、こうなります。
洗った後は、シャンプー液が残らないように、しっかりと洗い流してください。
洗い流す時に、うっかり指でこすらないように気をつけてくださいね。
- シャワーの水圧を調整できる場合は、「弱」にします。
- シャワーが直接、傷口を叩かないようにする。
- 植毛部分(傷口)をこすらない
- トニック系の洗浄力の強いシャンプーは避ける。
- 防腐剤無添加のシャンプーは避けてください。(新品ならOK)
【防腐剤無添加のシャンプー・リンスについて】
植毛直後には、いつものシャンプー・リンスについても、チェックしておきたいポイントがあります。
オーガニック系に多い、防腐剤無添加のシャンプーやリンスですが、開封したてでなければ、衛生面で不安が残ります。
感染症予防のためにも、防腐剤無添加のものは使わないでください。
浴室のような湿度の高い場所に置いている場合、液剤が変質している可能性もあります。
手術後は特に、そういう製品は使わないようにしてください。
未開封の物や、使いきりの小包装であれば問題ありません。
防腐剤を加えていない入浴製品は、衛生面の管理が難しいので、今後も置き場所や使用期限には注意してくださいね。
植毛手術後のシャンプーには、しばらくの間、スカルプケア系の地肌にやさしいシャンプーを使うのが良いかと思います。
クリニックには、適切なシャンプーを用意していることがあるので、施術後はそちらを使用するのもいいでしょう。

それを使い切ったら、また普段のものに戻せばいいと思います。
植毛後にドライヤーは使わないほうがいい?
髪を洗った後はタオルドライと自然乾燥が理想です。
タオルドライもごしごしこするのではなく、吸水性の高いタオルをかぶって、手のひらでそっと押さえるようにしてください。
後は自然乾燥です。
ドライヤーを使いたい場合には、「中温」で「弱」設定にし、やや遠くから乾かします。
傷口に温風が直接当たらないように、気をつけましょう。
傷口というのは、グラフト(移植毛)を採取した後頭部や、植毛した部分のことです。
女性の場合は、髪の長い部分を先に乾かした後、サイドの下方からドライヤーの風を当てて、吹き上げるように乾かすと、傷口にダメージを与えません。
いずれも、ドライヤー使用時は完全に乾かすのではなく、半乾きにしておいてください。
植毛手術の1週間後からは、きちんと乾かす、通常通りのケアに戻ってかまいません。
育毛剤・スタイリング剤は使わないほうがいい?
育毛剤などは頭皮に塗るものですので、しばらくは使わない方がいいでしょう。
使う場合は、術後2週間~1か月目以降です。
植毛後、かさぶたが取れて、傷口がきれいになった頃からは、問題なく使用できます。
その場合も、スカルプケア系の頭皮に栄養を与える、刺激の少ないものを選んで使うと、育毛をサポートしてくれます。
整髪料(スタイリング剤・ムース)などは、植毛直後には必要ないとは思いますが、術後3~4日目以降なら、使用可能です。
その場合も、刺激の少ないものを選び、液剤が頭皮に付かないように使ってください。
夜には必ず洗い流してください。
植毛後、何日目から飲酒できる?
アルコールは血流に影響を与えますので、移植毛が定着して安定するまでの1週間は、念のため避けた方がよいでしょう。
また、おでこの植毛や広範囲の植毛をした場合、飲酒によって、まぶたがひどく腫れあがることがありますので、外出予定のある方は特にやめておいたほうが得策です。
毛髪に重要な時期は、安静に過ごしましょう。
植毛後、タバコは吸っても問題なし?
植毛クリニックの先生によると、
「ヘビースモーカーでない限り、通常の喫煙は植毛にさほどの影響は与えない」とのことです。
この言葉に、
「じゃあ、別に吸ってもいいんだ♥」などとは思わないでください。
先生は「さほど影響を与えない」と言っているのであって、まったく影響しないとは言っていません。
「さほど」ということは、多少は影響がある、ということです。
喫煙による植毛へのダメージってある?
先生が言う「さほど」をどう見るかは、それぞれの判断ですが、ニコチンの影響をかんたんにお伝えしておきますね。
ニコチンは血管を収縮させる作用があります。
それでもって、脳や皮膚の血流を阻害します。
例えば、ウサギにタバコの煙を吸わせた「ニコチンが血管に及ぼす作用」を調べる実験がありますが、その動物実験では、煙を吸ったウサギの血管は、約2秒で極限まで収縮し、血流が完全に停止していました。
その後、ニコチンは体内で分解され排泄されますので、ふたたび血中濃度は下がります。
タバコを吸うたびに、これを繰り返すわけです。
髪の細胞は、血流を通して栄養を得ています。
その血管がひんぱんに収縮するようなことになれば、移植先に根を張ろうとしている細胞の邪魔をしているようなものです。
こういう状態は、毛根の生着に「少しは」影響するでしょう。
これが、先生の言う「さほど」になるわけですね。
この、植毛が定着するかしないかの大事な期間に、リスクは回避すべきでしょう。
タバコが吸えずにイライラする場合
ところが、タバコが吸えないストレスも、また問題です。
どうしても「しんぼうたまらんのじゃ」という方は、1日に3本程度で、やり過ごしてください。
それ以外の方は、1週間はタバコ、ダメ―――絶対。
植毛後の運動は手術翌日でもOK?
植毛後の運動は、術後3~4日間はやめておきましょう。
ストレッチやウォーキングもふくめて心拍数が上昇し、血のめぐりが良くなることで、傷口に負担がかかります。
術後は1週間程度は安静にしておくほうがいいでしょう。
それでも5日目以降なら、ストレッチやヨガ、短時間のジョギングぐらいなら、問題ありません。

炎天下に顔をしかめながら汗だくで走るのは、やめてくださいね。
術後2週間もすれば、格闘技系のエクササイズなどもふくめて、激しいスポーツも可能です。
ただし、頭を打ち付けたり、ぶつかり合うようなスポーツは、植毛にとってはダメージ大です。
数か月間は、頭部にダメージのないスポーツを楽しんでください。
植毛の手術後、帽子やヘルメットをかぶるのは問題あり?
クリニックによって違いますが、施術後は包帯もしくは黒い伸縮性のターバンをして帰宅します。
その際、しめつけない柔らか素材であれば、帽子をかぶって帰ることもできます。
脱ぐときに、包帯にこすれて、ずれたりしないものを選んでください。
手術の翌日からは、しめ付けない形のものであれば、帽子をかぶってもかまいません。
- ハット系はクラウン(中央部)が植毛した頭頂部に刺激を与えることがありますので、注意が必要です。
- パナマ・ハットやカンカン帽、マリン・キャップなどは、しばらく避けましょう。

傷口に布がこすれたり、しめつけたりしない帽子なら、かぶっても大丈夫です。
ヘルメットはかぶってもOK?
ヘルメットなどは、移植した部分に強く刺激を与える可能性が高いので、1週間は直接かぶるのを避けた方がよいでしょう。
植毛した部分に直接当たったり、こすれたりしなければ、ヘルメットも植毛施術の翌日からかぶっても問題ありません。
- 傷口や植毛した部分を押さえたり、こすらなければOK
- ニット帽など強いしめつけがあるものでなければOK
- 硬質素材が植毛部分に直接当たらなければOK
植毛後、すぐに仕事に行くのはOK?
植毛手術は日帰りでできるので、
デスクワークであれば、翌日から出勤しても特に問題はありません。
とは言え、植毛は頭皮の外科手術なので、心身共にストレスはかかっています。
できれば術後2、3日はゆったりと過ごすのが、ベストです。
特に額の生え際へ植毛された方は、まぶたが腫れぼったくなることもあります。
接客のあるサービス業の方などは、その可能性を見込んだ出勤スケジュールを立てておいたほうが無難ですね。
まぶたが腫れてきたなと思ったら、額を冷やすことによって軽減されます。
重労働(力仕事、長時間の立ち仕事、スポーツ等)は、せめて2~3日、可能であれば1週間はさけてください

お酒をがぶ飲みする接客業の方も、お休みしてくださいね。
植毛手術後にできた「かさぶた」のケア
植毛手術をした4日目ぐらいから「かさぶた」ができ始めます。
かさぶたができるのは、グラフト(移植毛)を採取した部分と、植毛した部分です。
かさぶたの大きさは、傷口の大きさによります。
これは、植毛方法によっても多少異なります。
細いパンチでグラフト採取した場合、かさぶたは小さなホクロよりも小さく、ほとんど目立ちません。
かゆみがあると気になるとは思いますが、決して、ボリボリと引っかいてはぎ取るようなことはしないでください。
かさぶたができるのは、傷がうまく治っている証拠ですので、そっとしておきましょう。

その間、カサブタが肩や背中に落ちても、
目立たない色合いのものを着ておきましょうね。
植毛後、1週間も経てば通常のケアに戻れるので、髪を洗っているうちに自然に落ちます。
育毛剤など、頭皮に直接塗るものは、もう1週間待ってから、使用してください。

できれば、1か月ほど待った方が安心ですけどね。
植毛後に特に食べない方がいい食事とは?
植毛手術後は、血行を促進させる内容の食事は、少なくとも3日間、できれば1週間は避けたほうがいいでしょう。
特に冬場、鍋や香辛料たっぷりの、体がポカポカ温まるようなメニューは、血のめぐりを良くし過ぎるので、植毛後の数日間は避けましょう。

チゲ鍋とか、なべ焼きうどんとか?

食べた後、身体が熱くなって鼻をすすりたくなるメニューはやめたほうがいいですね。
術後に血のめぐりが良くなりすぎると、傷の治りが遅れます。
植毛は、たとえメスを使わない植毛方法であっても、グラフト(毛包組織)を頭皮からくり抜き、それを無毛の頭皮へ植え込む外科手術です。
傷口のサイズは、細い針を刺したほどの小さなものですが、これから治ろうとする傷口へ急激な血流が押し寄せると、やはり血がにじんだりもします。
夏場であっても、
血行を良くする唐辛子などの薬味が好きな方は、施術後、数日間は控えてください。
まとめ
植毛の成功は、どれだけ移植した髪がしっかりと根付き、定着するかにかかっています。
その定着率は、先生の技術だけではなく、植毛後の過ごし方によっても多少変わってきます。
99%台の定着率を目指したドクターの技術を、その後の過ごし方で100%に近づけるのも、逆に80%台に低下させるのも、自分しだいということなんですね。
植毛後、2週間も経てば生着の状態も安定するので、通常の生活に戻れます。
一度しっかりと定着してしまえば、新しく生えた髪は普通に伸びて、正常なヘアーサイクルを繰り返し、半永久的に髪は生え続けるのが、自毛植毛です。
やがて手に入る、太くて丈夫な健康な髪のためにも、
植毛後1週間は、先生の言いつけを守って慎重に過ごしてくださいね。

では、良い先生にめぐり合ってください。